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1989 年度 実績報告書

DNAと塩基配列特異的に相互作用する多機能金属錯体

研究課題

研究課題/領域番号 01470047
研究機関東京大学

研究代表者

黒田 玲子  東京大学, 教養学部, 助教授 (90186552)

研究分担者 山岸 晧彦  東京大学, 教養学部, 助教授 (70001865)
岩本 振武  東京大学, 教養学部, 教授 (60011532)
キーワードDNA / インタカレ-ション / ポルフィリン錯体
研究概要

天然のタンパク質や生理活性物質の中には、DNAの塩基配列特異的な微細構造を認識したり、DNA塩基と共有結合しグリコシル結合のコンフオメ-ションを変える、DNAの塩基対間に挿入することにより二重らせんを安定化したり巻きもどす、あるいはラジカルを生成してDNA鎖を切断するといった機能を複数合わせ持っているものがある。本研究では、分子レベルでの情報が得られる分子量の小さい金属錯体をプロ-ブとして用いて、これらの相互作用の詳細を検討している。
金属錯体としては、中心金属の有無及び種類によってインタカレ-トするしないのコントロ-ルがてきるポリフィリン錯体を選んだ。DNAとの結合モ-ドを支配する因子を明らかにするために、(1)ポルフィリン化合物の形状、(2)DNAの溝内で水素結合などを作る可能性のある側鎖の有無、(3)化合物が帯びる正電荷の大きさ、を考慮して新しい化合物をデザインし、合成した。さらに、これらの新化合物とDNAとの相互作用の様式、結合の強さを物理化学的方法、生化学的方法を用いて検討した。その結果、軸配意子を持つMn錯体はインタカレ-トせず外部から結合すること、インタカレ-トする化合物(フリ-ベイスCu,Ni錯体)は制限酵素を使った実験から強いGC選択性を示すこと、footprinting法ではAT,GC特異性がはっきり現れないこと、ポルフィリン環の外側に位置する置換基の若干の立体障害よりは、その部位の持つ電荷が結合の強さによりきいていること、ヘキサメチレンのような長い側鎖を持つ化合物の方が短いものよりも結合定数が大きく、DNAの溝内でさらに結合している可能性のあることが明らかとなった。これらの結果をふまえ、次年度は長い側鎖の先に光照射によりDNA鎖を切断する部位をつけたポルフィリン化合物などを合成し相互作用を検討する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] R.Kuroda: "DNA Binding and Interaction by Novel Porphyrins:Role of Charge and Substituents Probed by DNase I footprinting and Topoisomerase I Unwinding" FEBS Letters. in-press (1990)

  • [文献書誌] R.C.McKenna: "Structure of Three DNA Cross-Linking Agents,Ethane-1,2-di(methylsulfonate),Propane-1,3-di(methlsulfonate)and n-Butane-1,4-di(methylsulfonate)." Acta Crystallographica. C45. 311-314 (1989)

  • [文献書誌] R.Kuroda: "Host-Guest Chemistry in Biological Systems:Molecular Basis of DNA-Ligand Interactions." J.Synthetic Organic Chemistry. 47. 547-556 (1989)

  • [文献書誌] P.Biscarini: "Stereoselective Synthesis and Characterization of the Optically Labile Chiral Cr(III) Complex -(+)_<589>-(Cr((-)bdtp)_3)." Inorganic Chimica Acta. 154. 209-214 (1989)

  • [文献書誌] M.E.Cullen: "Cloning and Characterization of a DNA Gyrase A Gene from Escherichia coli that Confers Clinical Resistanceto 4-Quinolones." Antimicrobial Agents and Chemotherapy. 33. 886-894 (1989)

  • [文献書誌] T.Yamamura: "Synthesis and Structure of a Thiolato Amine Nickel Complex.(N,N!-Ethylenebis(thiosalicylidenaminato) Nickel(II)." Chemistry Letters. 1245-1246 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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