研究課題/領域番号 |
01470048
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
冨安 博 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50016854)
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研究分担者 |
立屋敷 哲 女子栄養大学, 助手 (00076192)
藤井 靖彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (20016869)
原田 雅幸 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 技官(教務) (20156516)
小島 隆 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (30016852)
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キーワード | ウラニル / 分子内交換反応 / レ-ザ-誘起反応 / NMR / 反応と機構 / 配位子交換反応 |
研究概要 |
本年度はレ-ザ-照射NMR装置を用いて、ウラニル錯体、特にビス(アセチルアセトナト)ジメチルスルホキシドウラニル(VI)におけるアセチルアセトナト(以後acacと略す)の分子内交換反応の光誘起効果について研究を行なった。ウラニルイオンに配位した(UO結合に対して赤道面)acacの二つのメチル基はジメチルスルホキシド(acacと同一面に配位している)に近いものと遠いものでは磁気的環境が異なるため、低温(-30℃以下)では二本のNMRシグナル(それぞれAとBとする)として観測される。AとBのシグナルは温度が上昇すると分子内交換反応によりしだいに広幅化し、30℃以上では一本のシグナルになる。本研究では、-30℃でアルゴンイオンレ-ザ-を照射しながらNMR測定をしたところ、レ-ザ-強度が増加するにつれて線幅が広がり、IW以上のレ-ザ-強度ではほとんど1本線になった。このことは光照射がない場合、分子内交換反応はNMR時間スケ-ルに比べて十分に遅いが、レ-ザ-光を照射すると反応が誘起され、NMRスペクトルで観測されることを示している。このように、光誘起反応をNMR法によって直接測定することができたのは本研究が初めてである。まだ、予備的な成果しか得られていないが、今後は以下の点に留意して研究を進めていく。1)レ-ザ-光量と光誘起効果に関する定量的な考察、特に励起種の濃度を見積り、励起種内で起こっている反応速度を調べる。2)色素レ-ザ-を用いてレ-ザ-波長と光誘起効果との関係を調べる。3)これらのデ-タを基に反応機構を詳細に検討する。4)ウラニル以外の金属錯体(特に、光活性が著しいルテニウム、ロジウム錯体)の反応においてもレ-ザ-照射NMR法により反応の光誘起効果を調べる。
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