研究概要 |
本研究はマイクロリアクタ-による合成定験の部分と岩石の鉱物分析に基礎をおいた反応論の検討の部分と2つの研究方法より成り立っていると言える。マイクロリアクタ-による合成実験ではFeO23%をふくむパンペリ-石の合成を250℃,5kbで試みた。(Feーパンペリ-石の合成)この合成は圧力が長時間に渡って安定させることができず,必ずしも成功したとは言えないが,一応のX線粉末分析のデ-タを得た。しかし,ひきつづく組織観察については粒度が細かすぎて解析できていない。また,不幸なことに高圧計そのものが故障するという通常では考えられない事故が起り,その後の研究継続ができなくなった。最近修理が終了したので,実験を再開する。 岩石組織の研究では,記載の中で岩石の流動変形に及ぼす流体相の役割が大きいこと,また,PーT条件の見積りから,変成岩ではかなりの岩相の短縮があったことが明らかとなり,流体組成の検討と変成岩の温度・圧力条件のくわしい吟味を行なった。 その結果,神居古漂帯の泥質片岩にはH_2O,CO_2,CH_4が含まれているらしいことから明らかとなった。また浸体包有物の多い結晶は明らかに粗粒であることも判明し,神居古漂帯の泥質片岩の形成には外部からの流体の流成が大きな役割を果していることを見体的に示すことができた。このように成長した鉱物の中で,特に石英のC軸はひきつづく変形によって特異なパメ-ンとることが明らかになった。それはシンプル・シェア-成分の大きい変形である。 また変成帯のPーT条件の推定からアルパイン片岩,日高帯のグラニュライトで岩相の短縮量は1/3位になると予想される。 この短縮過程でRbーSr,SmーNd同位体比も変動すると思われるデ-タを得ることができた。
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