研究課題/領域番号 |
01470055
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 武 北海道大学, 理学部, 助教授 (60211190)
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研究分担者 |
石井 邦宣 北海道大学, 工学部, 教授 (00001214)
針谷 宥 北海道大学, 理学部, 教授 (50000815)
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キーワード | 酸化マンガン / 酸素分圧 / 固溶体 / 鉱物合成 / ヤコブス鉱 / ブラウン鉱 / ハウスマンナイト |
研究概要 |
混合原子価酸化物鉱物合成用の電気炉、真空封入装置を作成後、主として、MnO_2-Mn_2O_3-Fe_2O_3系について以下の研究を行った。 1.酸素分圧制御下におけるJacobsite-Hausmannite固溶体の合成 予め高温炉にて合成しておいたHausmannite(Mn_3O_4)とFe_2O_3の粉末混合物を石英の2重カプセルの内側に入れ、その外側にFe_2O_3とFe_3O_4の混合粉末を入れ、これを酸素分圧バッファ-としてJacobsite(Mn^<+2>Fe^<+3>_2O_4)合成した。次に、このJacobsiteを用いてHausmannite-Jacobsite間の固溶体を作成した。従来、この固溶体については、平衡酸素分圧が確認されていないが、今回の実験で酸素分圧が10^<-11>気圧700℃で安定に存在することが明らかとなった。ただし、両相間では結晶構造が異なるので2相領域が存在するが、詳細な検討はできていない。 また、Iwakiite(Mn^<2+>〔Mn^<3+>,Fe^<3+>〕_2O_4)は合成できず、安定な鉱物として存在できるか否かの検討は来年度行うことにしている。 2.Braunite(Mn^<2+>Mn^<3+>_6SiO_<12>)中のSi固溶量の検討 本鉱物の構造式から予想されるSi含有量よりも大きいSi含有量を持つBrauniteがしばしば報告されていたが、原因が不明であった。天然鉱物においてはMgやCaが相当量含まれることを考慮して、本研究では部分的に2Mn^<3+>=Mg^<2+>Si^<4+>の置換の可能性を考え、この型で置換されたと考えられる部分固溶体の合成に成功した。本鉱物は、この種の置換によりSi含有量が理想式よりも増加しているものとみなされる。Siは高圧力型鉱物において、より6配位を取り易い性質があることから、興味のある現象である。 3.酸化マンガン鉱物の中・低温度下での合成 状態図に安定領域を持たない準安定な鉱物を合成し、その生成条件を検討するためには、中・低温度下での合成研究が必要である。しかし、これを可能にするには適当なフラックス、気相を用いて反応を活性化させることが必要となる。本年度は低温融液法、気相法、水熱法等によりハロゲンガス、Na_2B_4O_7、NH_4Fを用い予備実験を行ってみたが、現在のところは最適な方法を発見するには至っていない。
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