研究課題/領域番号 |
01470056
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
丸茂 文幸 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (10013492)
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研究分担者 |
田中 清明 東京工業大学, 工業材料研究所, 助手 (00092560)
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キーワード | 二硫化ニッケル / ニセレン化ニッケル / モット転移 / 超高圧 / 黄鉄鉱型構造 / 電子密度分布 / X線回折 |
研究概要 |
塩素ガスを媒体とする化学輸送法により育成したNiS_2及びNiSe_2結晶を用い、構造及び電子密度分布の圧力変化を単結晶X線回折法により求めた。ダイヤモンドアンビル超高圧発生装置を使用し、NiS_2については87kbar迄、NiSe_2については57kbar迄の種々の圧力下で回折実験を行った。圧力の検定にはルビ-のR_1螢光線の波長シフトを利用した。この目的のためにアルゴンレ-ザ-と金属顕微鏡を利用した圧力検定装置を作成した。両結晶共、立法晶系に属し、黄鉄鉱型構造をもつ。そして、NiS_2は46kbarでモット移転を起こし、電気伝導性か半導体的から金属的に変化するが、NiSe_2は常圧においても金属的電気伝導性を示す。 昇華法により作製したNiS_2結晶の場合、46kbar近傍に格子定数の不連続的変化のみられないことが知られているが、本研究で使用した試料では約0.08Åの格子定数の不連続的減少がみられ、高圧側では低圧側に比べ圧縮率が小さくなる。Niは6個のSにより八面体的に囲まれ、Sは3個のNi及び1個のSにより四面体的に囲まれる。S-S結合距離はは圧力の増加とともに緩やかに減少するが、実験誤差の範囲内で相転移点で不連続的変化は認められない。一方、Ni-S結合距離は相転移点で不連続的に、変化し、高圧側では圧縮され難くなる。また、高圧下ではNiの3d電子が核から遠ざかる傾向を示すことが、フ-リェ合成により求めた電子密度分布図より明らかにされた。 NiSe_2においてもSe-Se結合距離は圧力の増加とともに緩やかに減少するのみであるが、Ni-Se距離は著しく減少する。本研究における圧力範囲内では、その変化はほぼ直線的であり、NiS_2の半導体相におけるNi-S距離の変化よりやや大きい。
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