研究課題/領域番号 |
01470056
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
鉱物学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
丸茂 文幸 東京工業大学, 工業材料研究所, 教授 (10013492)
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研究分担者 |
石澤 伸夫 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (90151365)
田中 清明 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (00092560)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 電子密度分布 / X線回折 / パイライト型 / ダイヤモンド・アンビル高圧装置 / 3d電子 / 差フ-リエ合成図 / 圧力相転移 |
研究概要 |
パイライト型の構造をもつNiSe_2結晶の圧力変化に伴う構造変化並びにNiS_2結晶中の電子密度分布の変化をダイヤモンド・アンビル高圧下での単結晶X線回折法により調べた。NiS_2は常圧で半導体であり、約46kbarで金属的電気伝導性を示すようになる。一方NiSe_2はそのような圧力相転移を示さない。用いた試料は何れも化学輸送法により作られたものである。NiS_2の場合、格子定数aは転移圧約46kbarで不連続的に変化し、低圧例では圧力p(kbar)とa(A)の関係はa=5.6881-0.00198pと近似でき、高圧側90kbar以下ではa=5.6650-0.00171pと近似できる。NiSe_2の格子定数aの圧力変化は60kbar迄の圧力範囲で直線的であり、a=5.9605-0.00219pと表せる。NiS_2について得られた結果は研究代表者等が他の方法で作製した試料について得た結果と異なる。このことは化学量論組成からの僅かな組成のずれが、転移圧に大きな影響を与えている可能性を示唆している。1barでの結合距離はNi-S=2.3981(1)A、S-S=2.0735(1)A、Ni-Se=2.4889(4)A、Se-Se=2.3958(4)Aであり、55kbarでNi-S=2.3458(4)A、S-S=2.0615(4)A、57kbarでNi-Se=2.4317(4)A、Se-Se=2.3954(4)Aである。結晶距離の圧力変化はNi-Seで最も顕著であり、Se-Seで最も少ない。NiS_2の場合、Ni-S距離には転移圧で不連続的変化が認められ、高圧側で変化が緩やかになる。S-S距離の圧力変化は非常に緩やかであるため、転移圧での不連続性は検出できなかった。 NiS_2の常圧下におけるNi近傍の電子密度分布は、八面体配位子場中でNi^<2+>イオンに期待される特徴をもつ。転移圧を越えた圧力下でのNi近傍の電子密度分布も基本的には同様の特徴をもつが、差フ-リエ合成図を比較すると、高圧下では常圧の場合に比べ、3d電子の分布が僅かに原子中心から離れ、広がっていることが定性的に明らかにされた。
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