研究課題/領域番号 |
01470063
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
四ツ柳 隆夫 東北大学, 工学部, 教授 (00001199)
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研究分担者 |
五十嵐 淑郎 東北大学, 工学部, 助手 (70150258)
星野 仁 東北大学, 工学部, 講師 (20124620)
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キーワード | PVCフィルム / イオン対抽出 / ミセル / 蛍光色素 / 蛍光媒体 / フッ素 / 陰イオン性界面活性剤 / 吸光光度法 |
研究概要 |
透明ポリマ-によって固体化された可塑剤を従来の抽出溶媒の代わりに用いる、分離濃縮機能とセンシング機能を合わせもつ透明フィルムシステムの開発を行い、本年度は以下の研究成果を得た。1.抽出特性の解明 金属錯体のイオン対分配方式によって金属イオンの簡易高感度定量法(ppbレベル)へ適用されたポリ塩化ビニル(PVC)-可塑剤系について、抽出媒体としての特性の解明を試み、次の点を明らかにした。(1)各種のアルキルスルホン酸イオンおよび色素対カチオンを用いて分配挙動に関する検討を行った結果、イオン対のフィルムへの分配機構は通常の溶媒抽出の場合と同様であることがわかった。(2)各種の試薬系における抽出選択性については、可塑剤の抽出適合性に加えて、目的化学種の水への溶解度が重要な因子となる。(3)色素対カチオンを用いるイオン対吸着フィルム比色法においてブランク値を与える成分(色素対カチオン)の分配は、溶媒抽出の場合とは異なり、PVCの有するアニオンサイトへのイオン交換機構による。2.ミセルの効果 非イオン性界面活性剤の共存によって、水に難溶の目的化学種を可溶化してフィルム相へ分配を支援させることができる(例、2,2'-ジヒドロキシアゾベンゼンのフィルム抽出におけるPONPE-20の効果).すなわち、水-ミセル-フィルムの3相系の設計が、本法を種々の化学種へと適用を拡張する際に重要な手法となることが判明した。3.蛍光測定媒体としての可能性 クリスタルバイオレットがフィルムへ抽出されると発蛍光性をもつことから、PVC-可塑剤系が新しい蛍光媒体として有用であることがわかった。超微量(f mol)レベルの希土類元素の時間分解蛍光法についても検討中である。4.定量法の拡張 本法をフッ素及び陰イオン性界面活性剤の定量へ適用した。さらに、本法の除タンパク機能に着目して血清中の生体関連物質への応用に関する研究を進めている。
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