研究概要 |
本研究では、CO_2およびO_2などを選択的に検知するための慢膜被覆電極を作製し、その特性評価を行った。前年度は、ビニル置換基を有するタ-ピリジン4′ーアクリル誘導体を合成し、その重合膜を作製しCO_2触媒還元能を調べたので、本年度はさらにアミノフェノ-ル基をもつ錯体を合成し、その錯体薄膜のCO_2還元触媒能を調べた。アミノ基を導入すると著しく触媒能力が向上し、低い過電圧で反応が進行することがわかった。センサとして最適な膜を探索するため、反応機構の解明および反応生成物を同定するための新しい計測システムを作製し測定を行った。CO_2の還元生成物としてギ酸およびCOが生成することを見い出した。コレステロ-ル検出など他の体液成分検出のための新しい二層高分子膜被覆電極型のセンサ素子を作製し、その特性を詳しく検討した。このセンサは、炭素電極表面にコバルトのアミノフェニルポルフィリン錯体の高分子薄膜が固定され、次にコレステロ-ルオキシダ-ゼ膜が固定され作製されたものである。センサの電流応答はコレステロ-ルの0.1から0.5mMまでの濃度範囲で直線関係を満足し、センサとして動作していることがわかり、人間の血清に含まれるコレステロ-ルを検出できることも実験により例証された。炭素電極にポリ(N,Nージメチルアニリン)などの荷電性薄膜を被覆したセンサ素子を作製し、ド-パミン,1ーノルエピネヒリン,およびDLー3,4ージヒドロキシフェニルアラニンなどの陽イオンを含む混合液からカテコ-ルアミン類など神経伝達物質を高選択的に検出できるセンサ素子を例証した。さらに、上記のようにして作製したセンサ素子について、高速液体クロマトグラフィ-/フロ-インジェクションアナリシスシステムの検出素子およびin vivo測定用センサとしての特性評価を行った。特性の応答反応機構の解明、センサの耐久性、in vivo測定の可能性を調べるために、反応生成物の検出は重要であり、そのためのガス分析計の一部を購入し検出システムを作製し反応生成物の検出を行った。さらに、上記膜を被覆した水晶発振子電極を作製し、膜と被検知物質との相互作用およびセンサ動作時のイオン、溶媒および膜の形態変化を“Inーsitu"測定した。
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