研究概要 |
1.層状リン酸ニオブからの水熱合成による三次元構造の化合物の合成 無定形の五酸化ニオブに種々の割合でリン酸、NaOH、水を加え、200℃までの低温水熱合成を行なった。その結果、NbOPO_4・nH_2Oのもつ二次元的な構造が、層間にインタ-カレ-トされたリン酸基によって結ばれたと考えられる構造の化合物が得られた。両者の格子定数を比較すると、前者は正方晶系でc軸の長さは乾燥状態によって変化するのに対して、後者は同様の正方晶系で、格子定数も類似しているが、c軸の長さは乾燥状態によって変化しないものであり、三次元的構造を持っていることが確認された。この他に、NbOPO_4・nH_2Oの層のリン酸基による結ばれ方の異なる層状や三次元的構造の化合物も合成されたが、これらについてはさらに詳しい検討が必要である。 2.リシエ-ションによる合成 CuTa_2O_6は、ペロヴスカイトに類似した構造の化合物であるが、これをn^-ブチルリチウムにより室温で処理すると、そのx線回折像が出発物質とは大きく異なる化合物が得られた。解析の結果、新しい化合物はCuの一部が溶出され、かつLiが取り込まれた組成のLiNbO_3型構造の(Li,Cu)TaO_3であることがわかった。また、同様の組成のCuNb_2O_6のリシエ-ションを行なうと、元のコランバイト型構造を保った化合物が生成した。しかし、これを還元雰囲気中で加熱するとLiNbO_3型構造の(Li,Cu)NbO_3へ変化することがわかった。これらの新しいLiNbO_3型の化合物のリ-トベルト法による構造の精密化を行なった結果、強誘電体のLiNbO_3型構造の化合物によく似たイオン配置をしており、これらの誘電特性の測定を行なう必要がある。
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