研究概要 |
鉄系原料とCOガスの反応によるFe_3C,Fe_5C_2およびFe_7C_3粉末の生成挙動とその磁気的特性について以下のことを見出した。 酸化鉄粉末を出発原料にし、300-400℃でFe_5C_2、450-600℃でFe_3Cの合成が可能となった。単相のFe_5C_2およびFe_3C粉末は、それぞれ350℃と600℃で得られた。鉄粉末を出発原料とすると、350℃以下では、未反応であり、400℃以上でFe_3Cの生成が認められ、500℃でほぼ単相のFe_3C粉末が得られた。550℃以上では、Fe_3Cの生成量は減少し、600℃では炭化反応は起こらなかった。鉄粉末からはFe_5C_2は生成しなかった。このように、出発原料が生成する炭化鉄相に大きな影響を与えることを見い出した。また、得られた炭化鉄粉末は100emu/g以上の高い飽和磁化値を有していた。 バリウムを出発原料に添加することにより、Fe_7C_3の合成が可能となった。得られた炭化鉄粉末は、Fe_7C_3とFe_5C_2が共存していた。350℃の反応温度、および高いCO分圧下での炭化処理により、Fe_7C_3の生成量が増加した。それらの炭化鉄粉末の飽和磁化値は、Fe_7C_3生成量にかかわらず約110emu/gであった。保磁力および角形比は、Fe_7C_3生成量の増加と共に増加し約700Oeおよび0.41となった。したがって、単相のFe_7C_3粉末は、優れた磁気記録用材料となりうると考えられる。 酸化鉄薄膜を調製した後、COガスにより炭化することによって、炭化鉄薄膜が得られることが、見い出された。得られた炭化鉄薄膜はFe_3Cであり、その飽和磁化値は、約100emu/g、保磁力は、400Oeとなった。磁化方向は、ヒステレシスル-プより薄膜の面内方向であることがわかった。
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