研究概要 |
セラミックス複合体は次世代材料の一つとして広く研究されている。本研究はその一環であり、低い熱処理温度でセラミックスを作り得るゾル・ゲル法を材料の複合化に展開し、従来は困難であった材料の組合せを可能ならしめることを目的として行われた。具体的成果は以下のようである。 (1)CH_3Si(OC_2H_5)_3 を原料として柔軟性のある有機/無機ハイブリッドを作製した。 (2)(1)を焼成し従成法では得られない多量の炭素微粒子を孤立状態で分散したSiO_2ガラスを作成した。またこのゲルはSiO_4四員環を主体としたポリマ-から成り、熱処理によってそれがより開放的構造へと変化することを明らかにした。 (3)SiO_2ゲル繊維にSiO_2微粒子を分散させることにより焼成過程でのクラックの発生を抑制し、ゾル・ゲル法で作られるSiO_2ガラス繊維の強度を約5割向上させることができた。 (4)SiCウィスカ-、ムライト微結晶を分散したムライト組成のゲル体を焼成することにより、粉体プロセスを用いることなく1300℃で高密度SiCウィスカ-/ムライト複合体を作ることができた。 (5)耐摩耗性TiNコ-ティング、耐酸化性SiO_2ーTiO_2系コ-ティングを黒鉛材料に施すことができた。 (6)複合体の基本材料となるセラミックス繊維(Zro_2,PbTiO_3,BaTiO_3)を調製することができた。 以上の成果はまだ基礎的な段階であり、克服されるべき果題を残してはいるが、ゾル・ゲル法がセラミックス複合体の創製のための手法として有望であることを示すものであった。
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