研究課題/領域番号 |
01470079
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
森川 陽 東京工業大学, 工学部, 教授 (00016396)
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研究分担者 |
素野 正治 東京工業大学, 工学部, 助手 (50202255)
和田 雄二 東京工業大学, 工学部, 助手 (40182985)
大塚 潔 東京工業大学, 工学部, 助教授 (60016532)
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キーワード | 天然ガス / アルカン / 酸化カップリング / 含酸素化合物 / 燃料電池 / 過酸化ナトリウム |
研究概要 |
酸素を酸化剤としたプロパンからの含酸素化合物の直接合成に有効な触媒であるホウ素とリンの複合酸化物(BーPーO)について、その速度論的挙動を詳しく検討した。生成物は、プロピオンアルデヒド、アセトン、プロピレンが主であった。BとPがほぼ等量含まれるものが最も活性が高いことがわかった。反応機構として1)触媒表面上の活性酸素によりプロパンから水素が引き抜かれ生じたアルキルラジカルが分子状吸着酸素と結合してC_nH_<2n+1>O_2・となり、これがさらにアルカンと反応してC_nH_<2n+1>O_2Hとアルキルラジカルが生成、2)このヒドロペルオキシドの分解により含酸素物が生成というラジカルを含む連鎖機構を提案した。活性点として表面上に過剰に存在するホウ素あるいはリンに起因する強い酸点が関係する可能性を示唆した。 過酸化ナトリウム、Na_2O_2は、600ー650Kという比較的低温で、メタン、エタン、プロパン等のアルカンと反応し、これらのアルカンのカップリング生成物および脱水素生成物が生じることを見いだした。すなわち、メタンからはエタンのみが、エタンからはブタンおよびエチレンが、プロパンからはヘキサンおよびプロピレンが生じた。どの場合にも、反応速度は、カップリング生成物の生成は、反応物質の圧に2次に依存し、脱水素生成物は1次に依存することがわかった。表面上の過酸化物イオンとアルカンの反応により生成した表面アルキル種からカップリング生成物と脱水素生成物が生じる反応機構を提案した。また3種のアルカンの反応の活性化エネルギ-を検討することから、メタンの活性化は、他の2種とは異なるという重要な知見が得られた。固体電解質を用いた燃料電池を用いたメタンの酸化カップリング反応系を開発した。安定化ジルコニアを電解質とし、アノ-ドに金上に炭酸バリウムを担持したものを用い、アノ-ド側にメタン、カソ-ド側に酸素を送り、電位を印加して、酸素イオンをポンプするとメタンのカップリング反応が進行する。この反応系の最適条件を検討した。この反応系は、外部からの電位を用いて反応の制御が容易にでき、また純酸素の代わりに空気を用いて反応を行えることなど工学的にも利点が多い。
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