研究課題/領域番号 |
01470082
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山添 昇 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (40037817)
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研究分担者 |
玉置 純 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10207227)
清水 陽一 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (20192114)
三浦 則雄 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (70128099)
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キーワード | 半導体ガスセンサ / 微細構造制御 / 表面修飾 / においセンサ |
研究概要 |
SnO_2を中心とする酸化物半導体に種々の金属酸化物を添加し、半導体ガスセンサのガス感度や選択性の向上をはかった。また、高性能半導体ガスセンサの設計指針を得た。 純粋なSnO_2のH_2に対する感度は、SnO_2結晶子径(D)が約10nm以下に減少すると急激に増大した。簡単な理論解析から、このような現象はDが空間電荷層の厚さ(L)の2倍近くまで小さくなると現れることがわかった。また、同様の現象は、金属酸化物を添加してSnO_2超微粒子を安定化した系においても見られ、結晶子径制御による高感度化は実用レベルでも可能であることがわかった。特にCaOやBaOは優れた焼結抑制剤であり、900℃焼成後でもSnO_2結晶子径を8nm程度に維持できた。さらに、高感度化はLを大きくすることによっても得られると考え、SnO_2にAl^<3+>をド-プしてSnO_2内の電子濃度を減少させ、Lを増加させた。Al^<3+>-SnO_2結晶子径においても高い感度を示した。したがって、D/2Lが1に近づくように微細構造制御を行うと、感度を増大させうることがわかった。また、半導体内のキャリア濃度を測定する手法としてゼ-ベック係数測定法を確立した。 SnO_2センサの硫化水素(H_2S)に対する感度・選択性の向上のためにはCuOの添加が有効であることがわかった。CuOーSnO_2素子は50ppm H_2Sに対して非常に高感度(R┣D2air┣D2/R┣D2H2S┫D2=35000)を示すだけでなく、空気に戻したときに電気抵抗は1分以内に初期値に回復した。また、CuOーSnO┣D22┫D2素子はH┣D22┫D2Sに対してのみ感度が高く、他の可燃性ガスに対してはほとんど応答しなかった。このような特異な挙動は、空気中で形成されているCuO(p型)とSnO┣D22┫D2(n型)間のpーn接合が、CuOの硫化と再酸化によって消失あるいは再生することに起因することがわかった。選択性の賦与のための新しい設計指針として、CuOにようにH┣D22┫D2Sと特異的に反応してSnO┣D22┫D2の電気抵抗を変化させる修飾剤の添加が有効であることがわかった。
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