研究課題/領域番号 |
01470083
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鹿川 修一 長崎大学, 工学部, 教授 (80037746)
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研究分担者 |
森口 勇 長崎大学, 工学部, 助手 (40210158)
寺岡 靖剛 長崎大学, 工学部, 助教授 (70163904)
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キーワード | 金属酸化物 / 薄膜 / コ-ティング膜 / 表面固定化法 |
研究概要 |
本研究は、金属のアルキル化合物、アルコキシドなどが酸化物の表面水酸基との反応により容易に固定化される性質を利用し、新しい金属酸化物薄膜、コ-ティング膜の作製法(表面固定化法)の開発を目指すものである。本年度は半導性、光導電性材料などとして重要なチタニア(TiO_2)薄膜の作製について検討した。 Ti(OC_2H_5)_4、Ti(OC_4H_<10>)_4のマグネシア(MgO)の表面水酸基との反応による気相固定化、それに引き続く分解、加水分解過程を赤外分光法、紫外可視分光法、示差熱熱重量法により追求したところ、Ti(OC_2H_5)_4、Ti(OC_4H_<10>)_4いずれのアルコキシドも固定化されるが、Ti(OC_4H_<10>)_4では加水分解処理により表面から脱離する傾向が見られ、膜作製前駆体としてはTi(OC_2H_5)_4のほうが優れていることが明らかとなった。Ti(OC_2H_5)_4の表面固定化量(チタニア薄膜生成量)は、基体であるマグネシア表面の水酸基および吸着水量と固定化温度の兼ね合いで決まり、薄膜作製には最適温度が存在することが明らかとなった。気相固定化法で連続膜を作製するには、固定化、加水分解過程を繰り返す必要があるが、その過程を紫外可視スペクトル(電子スペクトル)により追求すれば、膜の成長過程が解明できる可能性が示唆された。 Ti(OC_2H_5)_4の液相固定化法により作製したチタニアコ-ティング薄膜は、Ti(OC_2H_5)_4の加水分解により作製したチタニア粒子に比べ、光の透過領域が短波長側まで拡大するとともに、紫外光の反射率(遮蔽率)も向上し、薄膜化による光特性の改変が達成された。 来年度は、薄膜、コ-ティング膜の作製条件のさらなる最適化、膜成長過程の解明とともと、作製した膜の導電性などの機能物性についても鋭意検討する予定である。
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