研究概要 |
1.アルコキシルラジカルのベータ開裂を利用するマクロリドの合成 アルコキシルラジカルの遠隔付加-ベータ開裂反応をキ-ステップとするマクロリド類の新合成法を開発し、この手法により、天然マクロリドである(±)-ルシフエイオリド、エキザルトリドなど11〜17員環ラクトンを多数、高効率で合成した。 2.生物活性を有する18-ならびに19-ノルステロイドの高効率合成 アルコキシルラジカルの位置選択的ベータ開裂を利用するステロイドの18-ならびに19-ノルステロイドへの変換の新手法を見出し、この手法により、エストロン、19-ノルテストステロン、19-ノルコレスタン系天然物、12-デオキソフクジュソノロン、18-ノルプレグネノロン等を合成した。 3.〔2+3〕光付加反応による複素環を含むキノン類の合成 2-ヒドロキシ-または2-アミノナフトキノンとオレフィン類の新しい〔2+3〕光付加反応を開発し、この新手法により、天然生理活性キノンであるマチュリノンを含む多数のフロナフトキノン、ベンズインドールキノンを合成した。 4.各種生理活性ヘテロステロイドの合成 ステロイドケトンを相当するラクトールに導き、ラクトールから発生せしめたアルコキシルラジカルのベータ開裂をキ-ステップとして、O,S,Se,Te,Nを環内に有する生理活性ステロイドを多数合成した。 5.電極反応による含窒素ヘテロ環の合成 電極反応で発生せしめた窒素ラジカルの環化による1,4-ジ置換ピロリジンの新合成法を確立した。 6.その他 アルコキシルラジカルによる遠隔官能化、リグナン合成の新手法の開発、新アネレ-シヨン法の開発等、所期の成果を得た。
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