研究課題/領域番号 |
01470086
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長 哲郎 東北大学, 薬学部, 教授 (10010753)
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研究分担者 |
小林 長夫 東北大学, 薬学部, 助手 (60124575)
上野 昭彦 東北大学, 薬学部, 助教授 (50091658)
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キーワード | 分子認識センサ- / 分子内エキシマ- / 分子間エキシマ- / γ-シクロデキストリン / ピレン修飾シクロデキストリン / エキシマ-蛍光 / モノマ-蛍光 / ステロイド |
研究概要 |
1.目的 ピレン修飾はγ-シクロデキストリン(CD)を合成し、ゲスト添加に伴なうエキシマ-・モノマ-両蛍光の強度比の変化を観察し、この系の分子認識センサ-としての特性を明かにする。分子間エキシマ-形成系として、会合体を形成しやすいピレン残基1個を有するγ-CDを合成する。分子内エキシマ-形成系としては、ピレン残基2個を有するγ-CDを合成する。両系について、ステロイドを含む様々なゲスト分子を用いて、分子識別能を検定する。 2.結果と考察(1)ピレン修飾γ-CDの合成:γ-CDの1個の1級水酸基を1-ピレン酪酸、1-ピレンカルボン酸、2個の1級水酸基を1-ピレンカルボン酸(4種の異性体を単離)でエステル化し、単離精製した。(2)ピレン修飾γ-CDのコンホメ-ションと会合挙動の解析:円偏向二色性スペクトルの測定によって、ピレンのγ-CD空孔での配向を確定した。さらに、UVスペクトルの濃度依存から会合定数を決定し、また、蛍光寿命および時間分解スペクトルを測定した。(3)ゲスト添加に伴う蛍光変化による分子認識能の検定:ゲスト分子として、種々のアルコ-ル、テルペン、アルカロイド、ステロイド等46種の化合物を添加し、エキシマ-・モノマ-蛍光の変化量を測定した。本法は分光学的に不活性な化合物、特にステロイド類を誘導体化せずに直接検出することが可能であった。いくつかの幾何異性体、光学異性体に対しても検出できた。ステロイド類では分子の形状よりも官能基の数および位置によって著しく検出感度が異なり、ウルソデオキシコ-ル酸はμmolレベルでの定量が可能であった。 3.今後の計画 γ-CDの2級水酸基のピレン修飾、β-CDのダンシル修飾など新しい分子認識センサ-用ホストを合成し、分子認識能を体系化するとともに、医薬品、薬物への適用を試みる。
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