研究概要 |
ブタジエンテロマ-,2,7ーオクタジエンー1ーオ-ルの炭酸メチルエステルは,Pd(PPh_3)_4触媒,CO(5atm)で脱炭酸ーカルボニル化を受けるが,対応する酢酸エステルは,酢酸溶媒中で同様の反応を行うと,分子内オレフィンの挿入による環化ーカルボニル化を起こす。 プロスタノイド骨格合成を目標に,Pd(0)触媒によるこの環化反応を検討し,とくに1,3ー不斉移転による立体化学制御を試みた。逆合成を示す。 鍵反応の立体化学は,酢酸アリル部分のPd(0)への酸化的付加が立体配置反転と前提し,オレフィン挿入がπーアリルパラジウムの金属側から起こると期待されるから,全体として立体配置反転で,1,3ー不斉移転が実現されるものと考えた。所要の出発基質と,光学活性エピクロロヒドリンから次のように合成した。 πーアリルパラジウム中間体へのオレフィン挿入では,酢酸溶媒が必須であるが,ケタ-ル保護基を損う難点を克服して,最終的に目的物エノン体を収率70%で得ることができた。これの立体化学の証明は現在鋭意進行中である。
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