研究課題/領域番号 |
01470090
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷口 宏 九州大学, 工学部, 教授 (10037715)
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研究分担者 |
北村 二雄 九州大学, 工学部, 助手 (00153122)
小林 進二郎 九州大学, 工学部, 助手 (20037831)
磯村 計明 九州大学, 工学部, 助教授 (80037887)
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キーワード | 複素環化合物 / ビニルカチオン / ヘテロ原子効果 / 分子内環化反応 / ビニルナイトレン / 液晶 / LB膜 / 二次非線形光学材料 |
研究概要 |
活性中間体の一つであるビニルカチオンはアセチレン結合への親電子付加反応によって生成することが古くから知られていた。研究者はビニルハライドのソルボリシスや光反応によっても生成することを立証した。本研究ではビニルカチオン中心炭素の隣接位に酸素、硫黄などのヘテロ元素がある系では選択的に分子内反応が進み複素環化合物が生成する反応を解析した。ヘテロ元素の種類と位置による反応挙動を追及し、中間に生成する環状オニウムイオンの環構造とヘテロ元素の種類が、その安定単離に重要な役割を果たすことを明かにした。特にヘテロ元素が硫黄の場合には単離された環状スルフォニウムイオンは、対陰イオンがハロゲンの場合にスルフラン構造をとることをスペクトルによって明かにし、その構造が熱反応性に反映することを認め、硫黄化学へ発展する端緒を得た。 ビニルハライドの求核置換によって得られたビニルアジドは熱や光によってアジリンを生成するが、その熱反応はCNの結合開裂でビニルナイトレンを生成し、その分子内電子環状反応によって5、6、7員の複素環を生成する。特にアジリンの二量化によって生成したピラジン誘導体に液晶性を見い出し分子集合体の化学へと展開した。種々の複素環を有する液晶化合物を合成し、続いて両親媒性化合物を得た。この化合物は水面上で単分子膜を形成する。その成膜性と複素環構造の関連を測定した。ピリダジン、ピラジン環は良好な分子集合体を形成するが、ピリミジン環は膜を形成しない。このことを量子化学の手法を用い分子集合体の分子間力を計算することによって理論的に裏付けることができた。この成果は分子設計に基づく分子集合体の構築の基本概念を与えるものである。この手法によって作成した有機超薄膜は大きな二次の非線型光学効果を示し、光機能材料の開発へと研究を展開した。
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