研究概要 |
有機ケイ素化学における新分野の研究の一還として,高反応性有機ケイ素化合物の合成化学への応用や薬化学への応用を目指して,前年度の補助金による研究に引続いて,新しい反応活性種の生成と反応,とくにヘテロ環化学への応用研究を行った。研究成果をまとめると, 1)有機ケイ素化合物を他の方法によって得難い種々の反応中間体の合成等価体と見做せる反応剤として設計し,その合成法を明かにした。すなわち,他の方法では得難い1,3ー双種子試薬であるアルキリデンアゾメチンイリド,チオカルボニルイリド活性種や3ーメチレンー1,4ーペンタジエン(クロス共役トリエンの母体化合物である〔3〕デンドラレン)などの合成等価体として働く新規有機化合物をデザイン合成した。 2)このようにして合成した出発物質を用いて,αーアルキリデンピロリジンの立体選択的[3+2]環化付加反応による合成,テトラヒドロチオフェン誘導体の合成,αーアルギリデン1,3ーオキザゾリジン,αーアルキリデンー1,3ーチアゾリジン,オクタリン骨格の短段階合成などを効率的に行う方法を開発した。 この方法は新しい複素環化合物の立体選択的および位置選択的な合成反応として注目される。 さらに,高配位有機ケイ素反応剤の合成設計と,有機合成反応への応用に関する研究を行った。立体選択的な新規炭素ー炭素結合形成反応が達成でき,反応の立体制御が可能になった。
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