研究概要 |
シリルアセチレンのロジウム(I)錯体触媒反応が高選択的なエンインユニットをもつ化合物の合成法として有用であることを見い出した。 1).シリルアセチレンを触媒量のクロロトリス(トリフェニルホスフイン)ロジウム(I)と反応させるとロジウムによるCーH結合成性化とアセチレン三重結合への挿入反応による立体特異的な頭一頭二量化反応が進行しトランスー1,4ージシリルエンイン(1)が高収率で得られた。本反応はシリルアセチレンに特異的なものであり同条件下でのアルキルアセチレンの反応では選択性は逆転し頭一尾二量化による反応生成物のみが得られた。又、フェニルアセチレンの場合には頭一頭、頭一尾二量化の両方が進行し全く選択性は見られなかった。 2).得られたジシリルエンイン(1)上の2つのケイ素基は容易に他の置換基に変換できる。たとえば1をメチルリチウム又はアルカリ触媒存在下アルコ-ルと反応させるとアセチレン上のケイ素基のみが反応しそれぞれリチウムアセチリド、末端アセチレンがほぼ定量的に得られた。末端アセチレンはヒドロシリル化によりジシリルジエンへと導くことができた。これらの反応と既存のオレフィン上のケイ素基の変換反応を組みあわせると種々の置換基を有するエンイン、ジエンが収率よく合成できると考えられる。 3).本反応をジエチニルジシランを原料として行ったところ一分子内の2つの末端アセチレンがそれぞれ反応して重合物、ポリ[ジシラニレンブトエンインー1,4ージイル](2)が良好な収率で得られた。2は分子量(Mw)20,000〜100,000であり淡黄色の固体で一般の有機溶媒に可溶であった。又、紫外領域に特徴的な吸収を有し、紫外光(254nm)の照射により分解反応をおこすという興味深い物性を有することが明らかとなった。
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