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1989 年度 実績報告書

熱安定性フォトクロミック化合物の合成と光記録への応用

研究課題

研究課題/領域番号 01470098
研究機関九州大学

研究代表者

入江 正浩  九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (30001986)

キーワード光記録材料 / フォトクロミック反応 / ジアリ-ルエテン
研究概要

フォトクロミック分子を光記録媒体として用いようとする時、克服すべき重要な条件は(i)記録の熱安定性、(ii)繰り返し耐久性、(iii)非破壊読み出し機能、および(iv)半導体レ-ザ感受性である。我々はすでにチォクエン環をもつジアリ-ルエテンが熱不可逆フォトクロミック反応(光生成した異性体が光反応では元へもどるが熱反応では元へもどらない)を示すことを見出している。ジアリ-ルエテン分子骨格を基本として、化学修飾により他の条件も兼ねそなえた分子の合成をすすめた。
(iv)の半導体レ-ザ感受性を付与することをめざし、アリ-ル基としてセレノフェン環、ベンゾチオフェン環、インド-ル環をもつ分子の合成を行った。セレノフェン環、ベンゾチオクエン環をもつジアリ-ルエテン酸無水物の閉環体は、元のチオフェン環をもつジアリ-ルエテン酸無水物の閉環体は、元のチオフェン環をもつ分子よりそれぞれ5nmレッドシフト、16nmブル-シフトするのみで大きな長波長化は達成されなかった。一方インド-ル環をもつジアリ-ルエテン酸無水物の閉環体は620nmに吸収極大をもち、半導体レ-ザの波長(780nm)に感度をもつことが見出された。しかし、閉環体の寿命は80℃において3hしかなく(i)の熱安定性の条件を欠き記録材料として用いることはできない。熱安定性と長波長域感受性をあわせもつ分子の設計には別のアプロ-チ(非対称構造の導入など)が必要と思われる。
(iii)の非破壊読み出し機能の付与をめざして、光二量化反応するアントラセン環をチオフェン部にもつジアリ-ルエテンを合成した。開環状態においてエキシマ-発光が観測され、二量化反応と閉環反応の共存していることが認められた。しかし光閉環反応の量子収率が低く、非破壊読み出し機能を議論する以前にこのことの改善が必要である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Y.Yoshioka,T.Tanaka,M.Sawada,M.Irie: "Molecular and Crystal Structures of E-and 2-Isomers of 2,5-Dimethyl-3-furylethylidene(isopropylidene)succinic Anhgdride" Chem.Lett.19-22 (1989)

  • [文献書誌] S.Kawavchi,H.Yoshida,N.Yamashita,M.Ohta,S.Saeda,M.Irie: "A New Photochromic Spiro[3H-1,4-oxazine]" Bull.Chem.Soc.Jpn. 63. 267-268 (1989)

  • [文献書誌] M.Irie: "Advances in Photochromic Materials for Optical Data Storage Media" Jpn.J.Appl.Phys.28ーS. 215-219 (1989)

  • [文献書誌] 入江正浩: "有機フォトクロミック材料" PETROTECH. 12. 359-364 (1989)

  • [文献書誌] 入江正浩: "光機能高分子の研究開発動向" 機能材料. 9ー5. 5-10 (1989)

  • [文献書誌] M.Irie: "Proc.MRS Int.Meeting on Adv.Materials“Photoresponsive Materials"" Material Research Soc.,Pittsburgh, 177-186 (1989)

  • [文献書誌] 入江正浩: "クロミック材料と応用“フォトクロミック材料"" シ-エムシ-東京, 3-16 (1989)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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