新規に購入したタイムインタ-バル・ドメイン光子相関計システム(TIDC-100S)と既設の光散乱光度計を組合せ、大略以下の4つのテ-マについて研究を開始した。 (1)高分子電解質/界面活性剤複合体の形成と形態変化については、アニオン型のポリスチレンスルホン酸ナトリウムにカチオン型界面活性剤を加え、測定した回転半径と流体力学的半径より見積った複合体サイズとイオン凝縮との回転半径を議論する。内容は5月の高分子学会に報告する。 (2)カルボキシメチルセルロ-スの電気泳動光散乱を行い、電気泳動易動度の置換度および添加塩濃度依存性を測定した。内容の一部は7月にモントリオ-ルで開催されるIUPACにて発表の予定である。 (3)両端にカチオン型ブロックを持つ鎖長の異なるポリエチレンオキシドABA型共重合体の立体安定化および凝集機構とポリエチレンオキシド鎖長との関係を求め、効率的な凝集剤の分子設計への指針を探索した。内容は秋の界面現象に関する国際会議(IPC90、名古屋)にて発表を予定している。 (4)時間分割測定用の静的および動的光散乱解析ができる新しい光散乱光度計の試作を始めた。現在では100ms程度の特性時間を持つ比較的速い凝集沈澱現象やコンプレックス形成反応は静的光散乱法にて、散乱強度変化として追跡できる。特性時間が数分を越える一般の凝集現象は動的光散乱法によっても解析可能となった。さらに、角度依存性、分解能の改良、RGB三色レ-ザ-との組合せは今後の改良目標である。
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