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1990 年度 実績報告書

一方向流動場動的光散乱法による高分子の拡散と流体力学的相互作用に関する実験的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01470106
研究機関京都大学

研究代表者

綱島 良祐  京都大学, 化学研究所, 助手 (30089130)

研究分担者 小谷 壽  京都大学化学研究所, 教授 (70027019)
キーワード動的光散乱 / 高分子拡散 / 流体力学的相互作用 / 定常ずり流 / オゼ-ン・テンソル / ナビア・スト-クス方程式 / 高分子溶液
研究概要

屈曲性高分子は希薄溶液中で鎖セグメントの熱運動に基づく拡散挙動を示すが、その分子論的解釈については実験結果と理論予想との間に大きなギャップがある。即ち、近年急速に発展した動的光散乱法をこの屈曲性高分子希薄溶液系に適用して求めた実験事実は「高分子鎖が溶媒から非素抜け型の流体力学的相互作用を受けてKirkwood拡散方程式にしたがうブラウン運動をする」との理論予想とは極めて定性的にしか一致しない。この原因は、高分子鎖の運動をナビア・スト-クス(NーS)方程式そのものではなく、その"おそい流れ"場での近似式(オゼ-ン近似手法)を用いて記述しようとする従来の扱い方に欠陥があるためと考えられる。しかも、理論面での改良は未だ不十分である。そこで本研究では、NーS方程式そのものが理論的にも<厳密に>___ー取り扱える<一方向流れの場>___ーに高分子溶液を置き、これに動的光散乱法を適用し、NーS方程式成立状況下での溶液中の高分子鎖の拡散挙動を実験的に調べた。同軸二重円筒型回転セル(内筒回転、外筒静止;石英製)の内外筒間隙に高分子希薄溶液を注入し、内筒をゆっくり回転することにより、液中にCouette一方向流れの場を発生させた。この溶液にレ-ザ-光を照射し、液からの散乱光の強度ゆらぎを光子計数式時間相関計で観測し、時間相関関数を求めた。高分子/溶媒系として(1)主に分子の並進拡散運動のみが観測にかかる分子量77.6万のポリスチレン/ベンゼンおよび(2)並進拡散運動と共に分子内緩和運動も観測できる分子量271万のポリ(αーメチルスチレン)/ベンゼンの2つの系を、また、液のずり速度としてごく低速の0.57〜5.3_<sec>^<-1>(4段変速)を使用して実験を行った。その結果、この実験法を用いると、従来より広範な分子サイズ(径)領域にわたって、並進拡散係数の実験的評価が簡単明瞭に行えることがわかった。特に、並進拡散速度は観測したずり速度域ではずり速度依存性を示すが、適当に小さなずり速度では分子内緩和運動が見掛け上消失し、分子の並進運動のみが求まるとの知見は重要である。これらの結果は、今後、分子径と散乱ベクトルとの積り関数として拡散係数の実験値を理論と広範にわたって比較検討し、上記の研究目的を遂行する際には極めて有利な状況を提供してくれる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Y.Tsunashima: "Diffusion Mosions and Microphase Separation of StyreneーButadiene Diblock Copolymer in Solution.2.Behavior in nーDecane in the Dilute Solution Region" Macromolecules. 23. 2963-2969 (1990)

  • [文献書誌] Y.Tsunashima: "Dynamics and Conformations of Diblock Copolymers in Dilute Solution" KEK Internal(Proceedings of the Workshops on Polymer Science Studied by Neutron Scattering). 26. 71-77 (1990)

  • [文献書誌] Y.Tsunashima: "Transition of Diffusion Coefficient from a Random Coil to Interchain Concentric DoubleーPhase Sphere Structure Types observed in Diblock Copolymer/Selective Solvent System" Macromolecules.

  • [文献書誌] Y.Tsunashima: "Dynamics of Polymers in Dilute Solution under VeryーLow Shear Flow" J.Chem.Phys.

  • [文献書誌] T.Akutagawa: "Dynamics of MuscleーContraction Protein Component,Myosin,in Aqueous Solutions.1.Chain Conformation Change induced by salt Concentration and PH Changes" Biophys.J.

  • [文献書誌] Y.Tsunashima: "Dynamics of MuscleーContraction Protein Component,Myosin,in Aqueous Solutions.2.Chain Coalescence under Shear Flow" Biophys.J.

  • [文献書誌] J.Brandrup,Ed.: "Polymer Handbook,3rd Ed.ViscosityーMolecular Weight Relationships and Unperturbed Dimensions of Linear Chain Molecules" John Wiley & Sons,Inc., 1878 (1989)

  • [文献書誌] A.Onuki,Ed.: "Dynamics and Patterns in Complex Fluids (Proceedings in Physics 52)" SpringerーVerlag, 223 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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