導電性π共役複素環ポリマ-の新合成

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01470110
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 山本 隆一 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10016743)
• キーワード: π共役複素環ポリマ- / 有機金属錯体 / 導電性新素材 / 偏光フィルム

研究概要

分子内に2個のハロゲンを有するπ共役系複素環化合物をモノマ-として用い、ニッケルゼロ価錯体と反応せしめてモノマ-の脱ハロゲン化重縮合を行うことにより、主鎖に沿ったπ共役系を有し、空気中で安定な導電性π共役複素環ポリマ-を合成した。上記の合成法では、ニッケルゼロ価錯体種、配位子の添加、重合温度、モノマ-中のハロゲン等を検討することにより、生成するポリマ-の収率、分子量を向上させることができることを見出した。この合成法で得られたポリ(2,5-チエニレン)、ポリ(P-フェニレン)は他の合成法で得られた同ポリマ-に比べ、分子構造が制御されしかも長鎖を有するポリマ-であり、非常に高い結晶性を有することが分かった。また、同合成法で2,5-ジブロモピリジンの重縮合を行うことにより、溶媒への溶解性を有し、高誘電率の異方性を示すポリ(2,5-ピリジンジイル)が合成可能となった。そして、このポリマ-をコ-トしたポリ(ビニルアルコ-ル)フィルムを延伸することにより、特有の波長の光に対して偏光特性を有する複合フィルムが得られ、ポリマ-の分子量の高いものほど良子な偏光特性を示すことが明らかとなった。さらに、ピリジンニ量体である2,2'-ビピリジンのジハロゲン化物をモノマ-として用い、重縮合反応を行うことにより、分子結合に規則性を有するη型導電性ポリマ-が得られることが見出された。

研究成果

• [文献書誌] Takakazu Yamamoto: "Alkaline Metal Secondary Batteries Using Poly(2,5-pyridinediyl)as an Active Electrode Material" Jpn.J.Appl.phys.28. L875-L876 (1988)
• [文献書誌] Takakazu Yamamoto,Akio Kashiwazaki,Kazunori Kato: "Polymers and Oligomers with Substituted 2,5-Thienylene Units.Preparation and Electrical Conducting Properties" Makromol.Chem.190. 1649-1655 (1989)
• [文献書誌] Takakazu Yamamoto,Tsukasa Maruyama,Kenji Kubota: "Polarizing Film Prepared by Using Linear Poly(2,5-pyridinediyl)" Chem.Lett.1951-1952 (1989)
• [文献書誌] Takakazu Yamamoto,Ken-ichi Sanechika,Masakazu Hishinuma: "Conductive Polymer Materials" MRS Meeting Report. 1. 57-60 (1989)
• [文献書誌] Takakazu Yamamoto,Atsushi Morita,Tsukasa Maruyama,Z.-H.Zhou,Takaki Kanbara,Ken-ichi Sanechika: "New Method for Preparation of Poly(2,5-Thienylene),Poly(p-phenylene)and Related Polymers" Polym.J.22. 187-196 (1990)
• [文献書誌] Ken-ichi Sanechika,Takakazu Yamamoto,Hiroshi Sakai: "Mossbauer Spectroscopic Stidy of FeCl_3 Complexes of Poly(N-methyl-2,5-pyrrolylene),Poly(2,5-thienylene),Poly(3-methy-2,5-thienylene)Prepared by Ni-catalyzed Polycondensation" J.Macromol.Sci.-Chem.
• [文献書誌] 山本隆一(分担): "高分子錯体" 学会出版センタ-, (1990)
• [文献書誌] 山本隆一(分担): "ポリマ-バッテリ-" 共立出版, 110ペ-ジ (1990)