研究概要 |
導電性兀共役複素環ポリマ-を合成する方法として、主にゼロ価ニッケル錯体によるジハロゲン化複素芳香環化含物の脱ハロゲン化反応を用いた。たとえば、ビス(1,5ーシクロオクタジエン)ニッケル(0)錯体と2,2'ービピリジンの混合系に、3ーアルキルー2,5ージヨ-ドチオフェンを反応させると、脱ハロゲン化重縮合が進行し分子量15000〜150000のポリ(3ーアルキルー2,5ーチエニレン)PRThが生成する。 このPRThはクロロホルム等に可溶であり、溶液中で糸まり状構造をとっている。また、このポリマ-を白金電極上にフィルムとして形成させ、支持塩存在下直流電源により酸化すると黄色から青色へとフィルムの色の変化が起こりアニオンド-ピングが起った。この現象は可逆的であり、PRThを用いるエレクトロクロミズム素子への応用が可能であることを示している。 上記のゼロ価ニッケル錯体を用いる重合法により、電子吸引性に2,5ーピリジンジイル基と電子供与性の2,5ーチエニレン基から成る共重合体を合成した。この共重合体はその特異な電子構造のため、電気化学的な酸化ド-ピング状態を特に安定化させる効果を持つ。これらの上記のポリマ-の他、導電性兀共役複素環ポリマ-を合成し、その酸化還元挙動電子移動等について研究した。また、ポリマ-合成の基礎である錯体化学の研究を行なった。
|