研究課題/領域番号 |
01470115
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石田 愈 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (10016735)
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研究分担者 |
黒田 千秋 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (80114867)
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キーワード | 固体電解質 / 燃料電池 / YSZ / スパッタリング / 走査型トンネル顕微鏡(STM) / 薄膜 / アニ-ル / 電極反応抵抗 |
研究概要 |
イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体電解質燃料電池について、スパッタリング法を利用して薄膜化に成功するとともに、アルミナ多孔質基板上にスパッタリング法で作製、固定化した白金薄膜電極を使用することにより、電極反応抵抗を一般値の1万分の1以下に低減できることを発見した。 次に、以上の現象が発現する原因を追究するため、スパッタリング条件が電極特性に及ぼす影響を定量的に評価するための電極反応モデルを提案し、モデル中の実験的因子の変化を捉えることで電極表面上で生起している現象の推定が可能となった。その結果、上記のような電極反応抵抗の低減の要因として、固定化された電極に関しては、1000℃以上の高温でアニ-ルされても、スパッタリング直後の多孔性の状態が保持され、再結晶化による多孔性の欠如が妨げられたことが考えられた。 以上の推定を実際に確認するため、本年度補助金で新しく購入した走査型トンネル顕微鏡を用いて、グラファイト、ガラス、アルミナ、YSZの各種基板上にスパッタリングして作製した白金薄膜の表面形状の微視的観察を試みた。その結果、従来、超真空下においてのみ観察可能であった白金の原子配列を、ヘリウムガス雰囲気下でも観察可能であるという新事実を見出した。さらに、スパッタリング直後に存在する基板特有の凹凸やスパッタリング現象に起因すると考えられる数10Åの凹凸が、固定化されていない電極の場合、アニ-ルによる再結晶化によって、多くの部分で消滅していることが確認された。この結果は、モデルによる電極表面現象の推定を裏付けるものであり、スパッタリングによる電極表面上の多様な凹凸が、固定化により堅固に保持され、電極反応抵抗の低減に大きく寄与しているものと考えられる。以上の結果は、固体電解質燃料電池の設計にあたり、大いに貢献するものと思われる。
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