研究課題/領域番号 |
01470117
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東稔 節治 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40029418)
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研究分担者 |
正脇 輝之 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (10209421)
田谷 正仁 大阪大学, 基礎工学部, 講師 (60144127)
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キーワード | 光触媒半導体 / 酵素(アルコ-ルデヒドロゲナ-ゼ) / 補酵素(NAD) / 有効吸収係数 / 光殺菌 / 微生物 / 光照射 / バイオプロセス |
研究概要 |
酸化チタンなどの半導体は、光エネルギ-によって励起され、通常の条件下では起らない酸化・還元反応を触媒する。一方、生体触媒で酵素は、極めて高い特異性をもって反応を触媒し、バイオプロセスにおいて重要な役割を果している。本研究では、これらのユニ-クな触媒素子の融合を図り、光化学反応を組み込んだ新しいシステムの確立を目的として、以下の検討を行ってきた。なお、微生物の培養や酵素反応あるいは分析等に必要な設備として、蛍光分光光度計、振盪培養器、恒温振盪培養器、光学顕微鏡、乾燥器を購入し使用した。 1.酸化・還元酵素の代表的補酵素であるNADに着目し、TiO_2による酸化・還元反応と酵素反応を組み合わせた新たなシステムを構築した。すなわち、TiO_2粒子上に酵素(アルコ-ルデヒドロゲナ-ゼ)を固定化することにより、NADの再生を伴うサイクリックな反応システムが構成できた。また長期にわたる反応システムでは光照射を伴うNADや酵素の失活が問題となることが分かった。 2.NADHの酸化に関して光照射を伴う空気気泡ーTiO_2ー溶液の気・液・固三相系を構築し、角型懸濁気泡塔で反応速度論的解析を行った。その結果、NADHの酸化反応速度は、光の有効吸収係数の概念を用いて解析することができ、NADH濃度の0次、光強度の1次であることが示された。 3.発酵原液や酵素反応において汚染菌として微生物が問題となることが多く、半導体光触媒による殺菌条件を大腸菌を対象として、光照射、触媒添加量等の因子の影響を検討した。また耐熱性の高い細菌についても殺菌条件を検討しつつある。光殺菌についてはTiO_2表面上での菌体の吸着、死滅を考慮する表面化学反応の動力学の解明が不可欠である。
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