研究概要 |
酸化チタンなどの半導体は,光エネルギ-によって励起され,通常の条件下では起らない酸化・還元反応を触媒する。本研究では,光化学反応を組み込んだ新しいバイオリアクタ-システムの確立を目的として種々検討を行い以下の結果を得た。なお,微生物の生死の判別を迅速かつ正確に行うため蛍光分析を採用し,細胞の前処理装置として超音波細胞破砕器を購入した。 1.微生物や胞子の懸濁液をモデル系として用い,菌体として有胞子細菌に属する<Bacillus>___ー属のB__ー.<stearothermophilus>___ー,B__ー.<subtilis>___ー,B__ー.<licheniformis>___ー,B__ー.<Pumilus>___ーのsporeに対して,半導体光触媒反応による殺菌条件について,半導体の種類と粒径,照射光の波長,懸濁液のpH,温度などの殺菌速度に及ぼす影響を明らかにした。 2.熱に不安定な物質(炭水化物)のような食品用溶液では加熱殺菌は不可能であり,100℃の熱殺菌では死減しないB__ー.<stearothermophilus>___ーを用いてこのような溶液に対して半導体光触媒の適用を行い,高圧水銀灯の波長のうち253nmから306nmでは酸化チタンや白金を混合した酸化チタンによって殺菌作用の増加が見出された。さらに,微生物の死減速度に関する反応速度論として菌体濃度,光強度,酸化チタン濃度の死減速度への依存性を明らかにした。この半導体光殺菌システムと培養槽を組み合せるための効率的な殺菌反応塔として,前年度で開発試作した二重円筒型反応器を適用することが最良であると認められた。
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