1.シトクロムc遺伝子のクロ-ニング (1)好熱性水素細菌のシトクロムc_<552>遺伝子のクロ-ニング・シ-クエンシング シトクロムc_<551>の蛋白質の配列から作成した2本のプロ-ブを用い、クロ-ニング・シ-クエンシングを行った。 (2)緑膿菌のシトクロムc_<551>遺伝子のクロ-ニング 既知の蛋白質配列から作成した2本のプロ-ブを用い、(1)と同様にして塩基配列を決定した。 2.シトクロムc遺伝子の発現 (1)好熱性水素細菌のシトクロムc_<552>遺伝子の大腸菌中での発現 上記シトクロムc_<552>遺伝子のシグナル配列を持たない遺伝子を調製し、プラスミド pKK223ー3 のマルチクロ-ニングサイトに導入し大腸菌JM 109 株を形質転換した。形質転換した大腸菌を硝酸呼吸条件下に培養した。この無細胞抽出液中にシトクロムc_<552>遺伝子が発現していることが示され、さらにここからシトクロムc_<552>蛋白質を精製した。 (2)緑膿菌のシトクロムc_<551>遺伝子の緑膿菌中での発現 上記シトクロムc_<551>遺伝子のシグナル配列を持つ遺伝子を調製し、発現ベクタ-pHA10のtacプロモ-タ-の直後に挿入し三親接合法により、緑膿菌PAO1161株に導入した。これらのプラスミドにより形質転換した緑膿菌を培養し、シトクロムc_<551>遺伝子の発現について調べた結果、シトクロムc_<551>が高発現していること及びシグナル配列も正しく除去されていることが明らかとなった。 3.アミノ酸置換によるシトクロムc耐熱性の変化 (1)シトクロムc_<552>の場合には耐熱性減少を目的とし、site directed mutagenesis の手法を用いて、アラニン26→リジン、リジン30→アラニン、アラニン26→リジン:リジン30→アラニンの二重変異、アスパラギン酸37→グリシンという変異シトクロムc_<552>蛋白質を調製した。 (2)シトクロムc_<551>の場合には耐熱性増加を目的とし、site directed mutagenesis の手法を用いて、リジン28→アラニン、アラニン32→リジン、グリシン39→アスパラギン酸という変異シトクロムc_<551>蛋白質を調製した。 (3)いづれの場合にも耐熱性の変化は殆どなかった。
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