研究概要 |
1.<Mucor hiemalis>___ーのエンドーβーNーアセチルグルコサミニダ-ゼ(endoーβーGlcNAcーase)の特性:本酵素を単一に精製して基本的性質を明らかにした。本酵素は分子量約95,000,至適pHは6.0〜6.5,ダンシル(DNS)ーアシアロトランスフェリングリコペプチドに対するKm値は2.0×10^<-3>Mであった。遊離した糖鎖の構造は ^1HーNMRにより明らかにされた。2.<Fusarium oxysporum>___ーに見いだされた脱糖鎖αーLーフコシダ-ゼ:本菌の培養液中には糖タンパク質であるαーLーフコシダ-ゼI以外に糖鎖を持たないαーLーフコシダ-ゼIIが存在することを見いだし,これが本菌自身の生産するendoーβーGlcNAcーaseによりαーLーフコシダ-ゼIから生成したものであることを確認した。3.<Alcaligenes>___ーSP.のエンドーαーNーアセチルガラクトサミニダ-ゼ(endoーαーGalNAcーase)の特性及び利用:(1)本酵素はアシアログリコフォリン,アシアロ赤血球,ヒト胃癌細胞KatoIIIなどから癌マ-カ-として知られているTー抗原(二糖Galβl→3GalNAc)を遊離した。遊離したTー抗原はHPLCその他の方法で同定した。さらに本酵素の作用で遊離した糖鎖をピリジルアミノ化し,HPLCでpmolレベルで微量定量できる方法を開発した。(2)本酵素はDNSーセリンーGalNAcーGalとDNSースレオニンーGalNAcーGalからGalβl→3GalNAcを遊離し,後者より前者に高い活性を示した。DNSーセリンーGalNAcーGalとDNSースレオニンーGalNAcーGalに対するKm値はそれぞれ0.17mM,1.43mMであった。さらに同一のOーグリコシドであっても異なるアグリコンアミノ酸に結合していると,糖鎖が異なる生物機能を演ずる可能性が示唆された。
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