研究課題/領域番号 |
01470127
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
瀬戸 治男 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (10013335)
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研究分担者 |
長岡 行蔵 明治製菓, 薬品総合研究所・バイオテクノロジー研究所, 所長
島津 昭 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (50092234)
早川 洋一 東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (20208606)
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キーワード | ビアラホス / C-P化合物 / C-P結合生成酵素 / 遺伝子修飾法 / カルボキシホスホノエノ-ルピルビン酸 / in vitro derived mutation |
研究概要 |
本研究は、C-P化合物の中でも最も特異的なC-P-C結合を有するビアラホスを研究対象とし、その生合成経路の解明に我々が確立した新しい遺伝子修飾法(in vitro derived mutation)を応用することを目的としている。すなわち、従来までに変異株の得られていない反応段階に対応するビアラホス生合成遺伝子を修飾する事により、新しい生合成変異株を取得し、それを用いて生合成反応及びそれに関与する酵素、遺伝子を明らかにしようとするものである。ビアラホスの生合成経路中のC-P結合生成過程のひとつ、ホスホエノ-ルピルビン酸とホスホノギ酸からホスフィノピルビン酸が生成するステップ5の反応は、有機化学的見地から一段階の反応ではなく、未同定の中間体の関与が予想されていたが、ここに関する非生産変異株が1種類しか得られていなかったため解析が不可能であった。そこで、in vitro derived mutationの手法を用いて、ビアラホス生合成遺伝子クラスタ-のステップ5に対応する領域に変異を導入し、新しい形質を示す変異株NP71を作製した。このNP71株の性質を既存の変異株と比較して解析する過程で、新規生合成中間体であるカルボキシホスホノエノ-ルピルビン酸を見いだし、その単離構造決定に成功した。また、このNP71株が、ホスホエノ-ルピルビン酸とホスホノギ酸とのエステル交換によりカルボキシホスホノエノ-ルピルビン酸が生成する反応を触媒する酵素の欠損株であることを明かにした。すなわちステップ5の反応は当初の予想通り、エステル交換及びC-P結合生成の2段階の反応より成ることが証明された。さらにビアラホス生合成遺伝子クラスタ-上の上記の2段階の反応を触媒する酵素に対応する領域を明らかにした。以上の研究により我々が新しく開発した遺伝子修飾法は、従来法では解明することができなかった生合成反応の解析にきわめて有効であることが証明された。
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