研究概要 |
軟サンゴ類<Sinularia>___ーsp.にガラクト-ス結合特異性のレクチン眼が存在することを認めた。本レクチンをアフイニティ-クロマトグラフィ-を用いて精製し,電気泳動的に単一な成分シヌラリンを分離した。本レクチンは分子量7.8万の単鎖よりなるポリペプチドで,各種動物血球を凝集するほか,マウスの腫瘍細胞MM46とマクロファ-ジとの結合を誘導する作用を示すことがわかった。種々の生物活性について検討を加えたが,リンパ球幼若化作用など生化学的試薬として応用しうる活性を認めることができなかった。 一方,アマクサアメフラシのタンパク分泌液中にグラム陽性およびグラム陰性菌の増殖を強く抑制する成分の存在を認めた。そこで,ゲルろ過,イオン交換クロマトグラフィ-により,活性成分の精製を行ったところ,分子量6.7万の単鎖のポリペプチドを得ることができた。ジュリアニンSと命名した活性成分は<Bacillus>___ー <subtilis>___ーの増殖を70ng/ml(1.1×10^<-9>M)で50%抑制する。また,腫瘍細胞に対してはさらに強力でマウス白血病細胞L1210に対してはID_<50>=8ng/ml(1.2×10^<-10>M)と強力な細胞毒性を示した。本活性成分はpH6〜10の範囲で比較的安定で各種プロテア-ゼ処理に対してもかなりの抵抗性を示した。一方,加熱にはきわめて不安定で,40℃15分の処理で失活するほか,極端な酸性あるいは塩基性側にすると容易に活性を失しなった。 この成分は供試した<Vibrio>___ー <anguilldrum>___ー,<Aeromonas>___ー salmonicida,A__ー.<hydsophila>___ー,Edwardsiella <tarda>___ーなどの病原細菌に対しても強力な抗菌活性を示すことから,アマクサアメフラシの外套腔内における細菌などの侵襲に対する防御機構の一部を担っていることが推測された。実際,アマクサアメフラシ外套腔内に所在する組織はほとんど無菌的であることが確認された。
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