1。種々のゲルセミウムアルカロイド類の生合成共通中間体と考えられる19-(Z)-Taberpsychine(1)の合成を、Ajmaline及びGardnerineを用いる2種のル-トにより達成した。即ち、1)Ajmalineの18、19位のZ型のオレフィンを導入し、更にインドリン部の酸化を経て、16位の異性化を防ぎながらインド-ルへと変換し(1)とした。2)Gardnerineのベンゼン環部のメトキシ基の除去と、パラジウム触媒を用いたオレフィンの反転により(1)とした。 2。19-(Z)-Taberpsychine(1)のOsO4による酸化により選択的にC7(S)配置を持つオキシインド-ルへと転位させることにより天然物であるDes-N(a)-methoxyrankinidineを合成し、Humantenine型アルカロイドの絶対配置を初めて決定した。 3。18-Hydroxygardnerineを出発原料として選び、ベンゼン環部のメトキシ基の除去の後、C/D環解裂により生合成仮想中間体18-Hydroxytaberpsychineを得た。これをパラジウム触媒を用いてC20位とインド-ル環のβ位の分子内カップリング反応を起こさせ、Koumineのバイオミィメテイックな合成に成功した。 4。Gelsedine類は、生合成過程においてまず21位の炭素が脱離してD-Norsarpagine型化合物となり、これのオキシインド-ルへの酸化により生成すると考えられるので、この生合成仮想中間体の合成を試みた。Stricto-sidineと合成的にほぼ等価と考えられるAjmalineを出発原料として選び、20位に酸素官能基を残す形で、酸化的に21-ホルミル基を除去した。続いて、19-(Z)-Taberpsychine(1)合成のときと同様に、インドリン環をインド-ルへ導き、最後に20(S)アルコ-ル体を用いてN(b)との再閉環を行い目的としたD-Norsarpagine型化合物を得ることができた。
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