新しい生体機能制御薬物の合成研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01470141
• 研究機関: 帝京大学
• 研究代表者: 池上 四郎 帝京大学, 薬学部, 教授 (10119555)
• 研究分担者: 柳谷 由己 帝京大学, 薬学部, 教務職員 (10200544) ; 渡邉 信英 帝京大学, 薬学部, 助手 (80220911) ; 宮嵜 洋二 帝京大学, 薬学部, 助手 (70211597) ; 本田 雄 帝京大学, 薬学部, 助手 (60173663) ; 橋本 俊一 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80107391)
• キーワード: プロスタグランジン / プロスタサイクリン / イソカルバサイクリン / ロイコトリエン / リポキシン / グリコシル化反応 / グルコシド / βーケトエステル

研究概要

平成元年度は新たに備品として購入した「ガスクロマトグラフ装置」を最大限に活用して研究の推進を計った。その概略は下記の通りである。
1)当研究室で開発された最も薬理活性の高いイソカルバサイクリン(PGl_2類縁体)の高選択的大量合成法の確立を引続いて行い、特に、βーケトエステルの活性部位へのω鎖直接導入法について検討を加え、一応の成功に達した。この方法はプロスタグランジンの合成のみならず、他の類似化合物への応用が可能であり、引き続き検討を加えている。
2)先に確立してきた合成法を基盤として、構造活性相関の面から関連するイソカルバサイクリン誘導体について合成を検討している。
3)ロイコトリエンB_4(LTB_4)やリポキシンは医薬への可能性を秘めた物質である。ジエン部をベンゼン環で置換した類縁体を合成して、その生物活性評価を行なった。
4)シアル糖や膜糖質及び糖化学の合成研究を展開するため、りん原子を中心とした脱離基を配置したグリコシル供与体を用いて、高選択的グリコシル化反応を開発した。更に、この方法論はグルコシル化反応の一般法として確立するため、引き続き詳細に検討を加えると共に、種々の制ガン剤や循環器薬等の新規生理活性化合物の発見に応用している。

研究成果

• [文献書誌] S.Hashimoto,Y.Miyazaki,T.Shinoda,and S.Ikegami: "A Controlled Synthesis of alfaー(E)ー1ーAlkenyl Ketones from betaーKeto Benzyl Esters." Tetrahedron Letters. 30. 7195-7198 (1989)
• [文献書誌] S.Hashimoto,T.Honda,and S.Ikegami: "A Rapid and Efficient Synthesis of 1,2ーtransーbetaーLinked Glycosides via Benzylーor BenzoylーProtected Glycopyaanosyl Phosphates" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.685-687 (1989)
• [文献書誌] S.Hashimoto,S.Kase,T.Shinoda,and S.Ikegami: "A Regioーand Stereocontrolled Synthesis of(+)ーIsocarbacyclin via(1S,2R,5R)ーBicyclo[3.3.0]octー6ーenーendoーol." Chemistry Letters. 1063-1066 (1989)
• [文献書誌] Y.Torisawa,K.Satoh,and S.Ikegami: "Synthesis of a Novel FuranーContaining Tricyclic Prostacyclin Analogue." Heterocycles. 28. 729-732 (1989)
• [文献書誌] S.Hashimoto,T.Shinoda,and S.Ikegami: "A Simple Synthesis of(+)ーIsocarbacyclin via a Convergent Process." J.Chem.Soc.,Chem.Commun.1137-1139 (1988)
• [文献書誌] Y.Torisawa,A.Satoh,and S.Ikegami: "Novel and Effective Methods for alfaーThialkylation of Aromatic Compounds." Tetrahedron Letters. 29. 1729-1732 (1988)