研究課題/領域番号 |
01470143
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 陽 京都大学, 薬学部, 教授 (90025685)
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研究分担者 |
遠藤 啓吾 京都大学, 医学部, 助教授 (10115800)
赤星 光彦 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00027418)
藤林 康久 京都大学, 医学部, 助手 (50165411)
ホリウチ カズコ (スズキ カズコ) 京都大学, 薬学部, 助手 (50144382)
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キーワード | 99m-Tc標識抗腫瘍抗体 / 186-Re標識抗腫瘍抗体 / がんの核医学診断 / がんの核医学治療 / 99m-Tcジメルカプトコハク酸錯体 / 多核錯体 |
研究概要 |
本研究は核医学診断および治療にそれぞれすぐれる99m-Tcおよび186-Reの多核錯体を標識部位とする新しいタイプの放射性金属標識抗腫瘍抗体を作製し、がんの核医学診断、治療への有用性を基礎的に検討することを目的としている。この研究の基本となる考えは抗腫瘍抗体の体内分布におけるがん抗原の認識とそれに続く多核錯体から解離する5価オキソアニオンのがん細胞内への移行である。この考えに従い、1)99m-Tc多核錯体の解離とがん細胞内へのTcオキソアニオンの移行との関係および2)多核錯体と抗体との結合に関する基礎的検討をまず計画したが、本年度は、これまでの研究成果に基づき、ジメルカプトコハク酸(DMS)をリガンドとする99m-Tc多核錯体を主な対象として研究を進めた。 1)に関しては、Tc-DMS多核錯体に希釈によって解離状態を与え、TLCでの解離状態の分析と共に、エ-ルリツヒ腹水がん細胞を用いるインビトロの実験系で、錯体の解離とがん細胞への移行の関係を調べた。その結果、予想通り両者が並行することを認めたが、さらに、この錯体はオ-レ-ションで形成されたTcの多核コアを中心に、周辺にDMSが配位した構造をとり、希釈に伴ってDMSの解離が先行して進み、この一部DMSの解離したTc多核錯体ががん集積に重要に関係することが予測された。この結果は今後の研究の展開を大きくもたらすものである。 2)に関しては、まず多核錯体と抗体との疎水結合を期待し、抗体と多核錯体との単純なmixturlを用いたエ-ルリッヒ担がんマウスでのがん集積挙動を調べた。多核錯体単独投与の場合と比較して、確かにがん集積の向上がみられたが、期待し得る程のデ-タではなく、結合様式に関して、1)の研究の展開を眺めつつ、今後さらに検討することの必要性を認めた。
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