研究概要 |
核融合炉ブランケットの設計にあたっては、トリチウムの増殖比を増加させるために、Liー6を濃縮したリチウムを採用する必要がある。イオン交換法でLiー6を濃縮すると、その濃縮費が核融合炉に投入するエネルギ-の大半を占める、という評価もあるが、同位体分離のコストを評価するための工学的基礎デ-タは不足している。 本年度は、前年度に構成した実験装置に、更に液移送ポンプを1台追加し、長距離展開が可能となるように改造し、デ-タを取得した。前年度の予備試験で明らかになったように、スチレン系強酸性イオン交換樹脂SKー116を用いて、酢酸リチウム,酢酸ナトリウム,塩酸で構成する系では、Liー6を濃縮するLiー吸着帯は目で見えない。Liー吸着帯を検出することは、長期間の連続分離実験に必須の技術なので、本年度も昨年度に引き続き、吸着帯の界面検出と、それに付随する問題に重点をおいて検討した。その結果、 1、微量通過型pHメ-タを流路内に組み込めば、Liー吸着帯の前端は検出可能である。後端は検出不能であるが、置換クロマトグラフィ-が維持されていれば、前端からの距離が変わらないので予測可能。 2、pHメ-タを組み込むと、Li吸着帯内部のLiー6同位体比の分布に異常が生じる。すなわち、吸着帯後端で濃縮されたLiー6の濃度が、最後端で減少する。 3、上記のLiー6同位体濃度の落ち込み現象は、pHメ-タ内の緩衝溶液(KCl)がわずかに流路に混入することが原因であることを、pHメ-タをはずした〓にKClを混入させる実験で現象を再現して確認した。 4、展開剤を酢酸ナトリウムから酢酸カリウムに変更しても、置換クロマトグラフィ-は維持でき、Liー6同位体分離も可能である。 などが、わかった。
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