研究概要 |
これまでに27個のマウスAntennapedia型ホメオボックス遺伝子のクロ-ン化の報告があるが、我々もコスミド及びファ-ジ遺伝子ライブラリ-より、まだ報告されていない3つのホメオボックス(Hox1.8,Hox3.5,Hox3.6)を含む17個のホメオボックス遺伝子をクロ-ン化した。これらのホメオボックス遺伝子は4つのクラスタ-(Hox1,Hox2,Hox3,Hox4)を形成しており、in situハイブリダイゼ-ションなどの結果から、発生過程で、外胚葉由来の神経管や中胚葉由来のいくつかの組織で発現していること、またクラスタ-中の遺伝子の配列順序と体軸に沿った発現領域との間には相関関係があることが報告されている。我々も新たにクロ-ン化した遺伝子についてin situハイブリダイゼ-ションでその発現を調べた結果、Hox3クラスタ-についても、他のクラスタ-と同様な、クラスタ-中の配列順序と体軸に沿った発現領域との関係があることが明らかになった。 T7プロモ-タ-を用いた大腸菌発現ベクタ-にマウスcDNAライブラリ-より単離したホメオボックスを含むクロ-ンcmー6(Hox1.1),cmー13(Hox3.5)及びHox3.1を含む遺伝子断片を結合したリコンビナントを作製し、合成した蛋白に対する抗体を調製した。免疫組織化学的実験によってこれらの抗体は、in situハイブリダイゼ-ションによって確認したマウス胎児での発現領域とほぼ同じ領域の核に存在する抗原を認識することが明らかになった。現在この抗体を用いて、アフィニティ-クロマトグラフィ-によって、in vivoでHox遺伝子産物が結合しているDNA断片の精製をおこなっている。
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