植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)は種子の成熟時や植物の乾燥時に合成され、さらにABAによって数種のタンパク質が誘導される。ABAにより誘導される遺伝子の機能と発現調節機構を調べる目的でABAにより特異的に誘導されるmRNAのcDNAをクロ-ニングした。ABA処理したシロイヌナズナから調製したmRNAを用いてcDNAライブラリ-を作成し、デイファレンシャルスクリ-ニングによりABAによって誘導されているcDNAクロ-ンを数種分離した。ノ-ザンハイブリダイゼ-ションによってこれらのクロ-ンが別のものであることを示した。現在これらのクロ-ンの塩基配列を決定している。またこれらのcDNAの遺伝子をゲノムDNAライブラリ-よりクロ-ニングしている。 乾燥によって特異的に誘導される遺伝子をクロ-ニングし、その機能と発現について調べるために、シロイヌナズナを乾燥処理してからABAが誘導されるまでの時間を抗体を用いて決定した。乾燥処理を始めてからABAが誘導されるまでの間に合成されるmRNAのcDNAをクロ-ニングするためにcDNAライブラリ-を作成した。現在デイファレンシャルスクリ-ニングにより乾燥により特異的に誘導されるcDNAをクロ-ニングしている。 ABAで誘導されるイネの16kdタンパク質遺伝子の転写開始領域を解析した結果、7塩基の保存性の高い配列が見い出された。この領域を含むDNAに結合するタンパク質が存在することをゲルシフト法によって示した。7塩基配列は他のABAで誘導される遺伝子にも見い出されておりABAによる誘導に関与していると考えられる。この配列に結合するタンパク質のcDNAのクロ-ニングを試みる予定である。
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