研究課題/領域番号 |
01480003
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
遺伝学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
篠崎 一雄 理化学研究所, 植物分子生物学研究室, 主任研究員 (20124216)
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研究分担者 |
篠崎 和子 理化学研究所, 植物分子生物学研究室, 基礎科学特別研究員 (30221295)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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キーワード | アブシジン酸 / 植物ホルモン / 遺伝子 / 分子生物学 / クロ-ニング / シロイヌナズナ / 乾燥ストレス / Northern hybridization |
研究概要 |
植物ホルモンアブシジン酸(ABA)は種子成熟時や植物の乾燥時に合成され、さらにABAによって多くのタンパク質が誘導される。ABAにより誘導される遺伝子の機能と発現調節機構を調べる目的でシロイヌナズナのcDNAライブラリ-より乾燥により誘導されるcDNAクロ-ン(RDと命名)を9個分離し、その塩基配列を決定した。このうち4個のcDNAはABAによって誘導されることが明かになった。タンパク質デ-タベ-スとの相同性検索の結果、3個について相同性が見いだされた。このうちRD17はrabやdehydrinと、RD22は種子タンパク質と、またRD29は低温で誘導される遺伝子との相同性が明かになった。ノ-ザンハイブリダイゼ-ション法により乾燥以外の環境ストレスによる誘導を調べると、RD17とRD29、RD20は低温により誘導されること、叉すべてのクロ-ンが塩ストレスにより誘導されることが明かになった。 ABA処理後の発現誘導の経時変化を解析すると、RD29遺伝子は乾燥ストレスによって二段階の発現誘導を受けていることが明かになった。このうち乾燥処理後20〜30分で見られる早い発現はABAによらず、後半の3時間からの発現にはABAが関与していることをABAの突然変異体を用いた解析により示した。他のRD22、R17、R20はABAによって5〜10時間程でゆっくりと誘導されており、ABAによる誘導に関しても複数の情報伝達系が存在することが示唆された。 RD22とRD29遺伝子についてサザン法で解析した結果、RD22はゲノムあたり1コピ-、RD29遺伝子については数コピ-存在することが明かになった。ゲノムライブラリ-よりRD22の遺伝子1個、RD29の遺伝子2個をクロ-ニングした。RD22、およびRD29の2個の遺伝子ともに転写開始領域にABAによる誘導に関与するシスエレメントABRE(ACGTGGC)が存在することが明かになった。叉RD29遺伝子に関しては転写開始領域の88ObpにGUSレポ-タ-遺伝子を連結したキメラ遺伝子を構築し、シロイヌナズナとタバコに遺伝子導入して、GUS遺伝子の発現を解析し、乾燥及びABAによる発現調節に関与する領域を同定した。転写開始領域に欠失変異を導入し、発現誘導に必要な転写開始領域のシスエレメントを解析した結果、ABAによる発現誘導に関与する領域と、ABAを介さない乾燥ストレスによる誘導に関与する領域に分けられることが示された。
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