研究課題/領域番号 |
01480004
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
向井 輝美 九州大学, 理学部, 教授 (30091242)
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研究分担者 |
日下部 眞一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40153275)
原田 光 九州大学, 理学部, 助手 (40150396)
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キーワード | 生存に有利な突然変異 / 遺伝子重複 / 遺伝子混成 / 調節遺伝子 / 非翻訳領域 / 淘汰的制約 / 自然選択 / 適応進化 |
研究概要 |
分子レベルではほとんどの塩基座位で進化すなわちヌクレチッドの置換が自然選択に対して中立的に進んで来たことは今や明白となってきた。次の問題は適応進化の分子的基礎を求めることである。現在考えられる適応進化の原動力は、生存に有利な突然変異(もっともこの頻度は非常に低いことが言われている)、遺伝子の重複とその一方に新たな突然変異が起こり新しい遺伝子が誕生すること(これは遺伝子混成につながる)および調節遺伝子の突然変異である。 生存に有利な突然変異は、私たちの発明した方法で探索し、その候補者を一つ得た。この探索の原理は、中立突然変異遺伝子はその頻度を上昇させるのに極めて多くの世代数を要するが、有利な突然変異はそれに比較すれば極めて短い期間に頻度が上昇するということである。米国ノ-スカロライナ集団で発見した候補を詳細に分析し、その結果をえたのでGENETICSに投稿した。第2の遺伝子重複について、最近起こり、その頻度を増しつつあるものを第2染色体のGPDH遺伝子座について発見した。この重複は2重と3重のものがあり、日本の集団は原型を含めて3つのタイプが多型をなしていることが判明した。アフリカの集団では原型のみが見られ3重型は現在までのところ日本の青森と小笠原で発見されているだけである。重複型の間で遺伝子変換か不等交差が起こったことがDNAの配列決定により明らかとなった。第3の調節遺伝子の研究ではADH遺伝子座の5´側上流約9kbの塩基配列が決定され、構造遺伝子から遠くはなれた非翻訳領域に、強く淘汰的制約を受けている領域のあることがわかった(約1300bpにわたって変異なし)。GPDH領域についても同じ種類の研究が進展している。研究の対照としてADH,GPDH遺伝子座も解析された。研究は進展中である。
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