タバコ培養細胞から水性二層分配法により、原形質膜を調製した。〔^<32>P〕ATPおよび〔^3H〕イノシト-ルリン脂質を用いて、原形質膜にはフオスファチジルイノシト-ル(PI)キナ-ゼ、フオスファチジルイノシト-ル-リン酸(PIP)キナ-ゼおよびイノシト-ル脂質を分解するフォスフォリパ-ゼCが存在することを明らかにし、これら酵素の諸性質を調べた。フォスフォリパ-ゼCは10^<-7>-10^<-6>MCa^<2+>によって顕著に活性化を受け、両キナ-ゼは阻害された。後者の性質は、イノシト-ルミリン酸(IP_3)の前駆体であるPIP_2の合成をCa^<2+>が抑制することにより、IP_3の生成を抑制することを意味する。IP_3は細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させる作用を持つので、キナ-ゼのCa^<2+>阻害は、Ca^<2+>による一種のフィ-ドバック阻害と見なすことが出来る。 トウモロコシ葉原形質膜から、Ca^<2+>-ATPア-ゼの可溶化と純化を試みた。界面活性剤C_<12>E_8で可溶化した膜をイオン交換HPLCで分画し、Ca^<2+>ATPア-ゼとH^+-ATPア-ゼを分離した。このCa^<2+>-ATPア-ゼを、ダイズリン脂質を用いて調整したリポソ-ムに、C_<12>E_8存在下に再構成した。このプロテオリポソ-ムは、ATP依存性Ca^<2+>取り込み活性を示した。これによって、Ca^<2+>-ATPア-ゼがCa^<2+>ポンプの実体であることが、直接証明された。 トウモロコシ葉原形質膜のプロテインキナ-ゼを可溶化し、イオン交換HPLCで部分精製した。この酵素標品は、ヒストンを基質とすることが出来、Ca^<2+>により活性化されたが、ジアシルグリセロ-ルやホルボ-ルエステルによる活性化を受けず、いわゆるプロティンキナ-ゼCとは異なる酵素であった。
|