研究概要 |
耐塩性緑藻ドナリエラから,Ca^<2+>ー依存性プロテインキナ-ゼを約900倍に精製し,酵素学的諸性質を明かにした。本酵素は0.1〜1μMCa^<2+>によって顕著に活性化された。またCa^<2+>の結合によって疎水性を増大させ,細胞の膜画分に結合した。可溶性画分には本酵素の基質となる蛋白はほとんど見出されなかったが,多数の膜蛋白が顕著なリン酸化を受けた。このことは細胞内Ca^<2+>の上昇によって,本酵素が活性化を受け,膜に移行してそこに存在する蛋白をリン酸化することを示唆する。膜蛋白のリン酸化のドナリエラの浸遷圧調節における役割を検討中である。 動物のGTP結合蛋白のαおよびβサブユニットの部分アミノ酸配列に倣ってペプチドを合成した。これらを抗元として抗Gαおよび抗Gβを調製した。各種植物から粗蛋白抽出液を調製し,SDSーポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離後,これら抗体をプロ-ブとしてウエスタンブロット法により解析したところ,12〜69KDaに抗Gαと23〜49KDaに抗Gβと反応する数本のバンドが検出された。 タバコブロトプラストおよびこれら調製した液胞を用い,パッチクランプ法により原形質膜と液胞膜のイオンチャネルの測定を試みた。液胞膜のOutsideーout patchでZnCl_2存在下において,電圧依存性の外向きのCa^<2+>チャネルが測定された。このチャネルは1μMイノシト-ルミリン酸により顕著に活性化され,10μMヴェラパミルにより完全に阻害された。 トウモロコシ原形質膜Ca^<2+>ポンプを再構成したリポソ-ムは,ニジエリシンを用いて人工的pH勾配を形成させても,Ca^<2+>取り込み能を示さなかった。従ってCa^<2+>/H^+交換輸送体はリポソ-ムに再構成されておらず,Ca^<2+>ーATPア-ゼのみがCa^<2+>輸送体として再構成されていることが明かとなった。
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