研究概要 |
葉緑体は独自の遺伝情報系を持ち、その構成成分は葉緑体DNAと核DNAにコ-ドされている。本計画では核DNAに含まれる同構成成分の遺伝子をクロ-ン化し、その構造を明らかにする。 1)タバコ葉の50Sサブユニットよりタンパク成分を分画し、約40成分を得た。それぞれのNー末端アミノ酸配列を分析した。5個のタンパクはNー末端がブロックされていたが、40個については分析を完了し、28種に分類できることを明らかにした。14KD蛋白のNー末端がタバコ葉緑体DNAのORF55と一致し、これが大腸菌のL32と相同なため、rpl32と命名した。また、偽遺伝子と考えられていたrpl23の産物CL23をNー末端より固定したので、このrpl23が少なくともタバコでは真の遺伝子であることを明らかにした。 2)タバコ葉緑体抽出液より、一本鎖DNAカラムに吸着する28KD,31KD,33KDのタンパク成分を得て、これらのNー末端を分析した。この配列をもとにオリゴヌクレオチドを合成し、タバコ葉mRNAより調製したcDNAクロ-ンバンクより対応するcDNAクロ-ンを単離した。一次構造の決定の結果いずれも2個のRNA結合ドメインを持っているので、これをリボヌクレオプロティンと分類した。さらに、無細胞系で3種の蛋白を合成し、核酸結合実験をしたところ、いずれもRNAと強く結合したことから、これらが真のリボヌクレオプロティンであることを実験的に証明した。 3)タバコ葉緑体より伸長因子EFーTuを精製し、このNー末端アミノ酸配列を決定した。これよりcDNAを2種単離し一次構造を決定した。さらにゲノミック・クロ-ンを単離解析し、タバコには2種のETーTuの遺伝子が存在することを示した。両者はお互いによく似ているが、発現様式は異なっている。
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