植物種子の保存mRNA(種子形成期に合成され、発芽期に初めて翻訳活性を表す長寿命mRNA)遺伝子の構造解析及び発現制御機構を解明するために、主としてマメ科植物ケツルアズキを研究材料に用いて研究を行ない、本年度は次の研究成果を得た。 1.ササゲ本葉から核DNAを抽出し、制限酵素MboIとSau3AIで切断後、ショ糖密度勾配遠心法により9〜23Kbの断片を回収した。これをλDash(BamHI)ア-ムにつなぎ、in vitroパッケ-ジングを行なって、ササゲ遺伝子ライブラリ-を作製した。先に単離した保存型mRNAのcDNAクロ-ン、pSAS10のcDNAインサ-トをプロ-ブとして、この遺伝子ライブラリ-からpSAS10-mRNAをコ-ドする遺伝子を検出・同定しつつある。ゲノミックサザ-ン法ではpSAS10遺伝子は2個程度存在すると考えられる。 2.pSAS10-mRNAとは別種の保存型mRNAのcDNAクロ-ンを得る目的で、乾燥種子からのcDNAライブラリ-から、ディファレンシャル・ハイブリッド法を利用して、発芽12時間ないし24時間目には存在するが(+)、pSAS10ではない(-)cDNAクロ-ンをさらに2種選別することができた。これらはそれぞれ12-13および24-11と仮に名づけた。12-13については378塩基からなる配列を決定した。これは完全長ではないと考えられるので、現在12-13をプロ-ブとして完全長のクロ-ンを単離中である。また24ー11についても部分配列(5′末端側627塩基対)の配列を決定した。24ー11については相同性検索も行なったが、高い相同性をもつ既報の配列は見いだせなかった。また24ー11をプロ-ブとして、ササゲ登熟期及び発芽期における24ー11ーmRNAの消長をRNAブロット法により分析した。
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