研究概要 |
1.高等植物の種子発芽の時、DNAメチル化の特異的な阻害剤である5-アザシチジン(azaC)を投与すると全DNAのメチル化が15%程低下するが、同時に植物体の矮性化を引き起こす(MGG,220,441,1990)。このことは植物の生長に関与する遺伝子がDNAの脱メチル化によって発現変化を受けたことを示唆する。 2.どのような遺伝子が影響を受けたか調べるためにdifferential hybridizationによってスクリーニングした結果、ras-関連遺伝子rgplが同定された。アミノ酸coding部分をexpression vectorに組み込んで調べたところ明らかにGTPを結合する蛋白であった。この事はrgplがsignal伝達系に係わっている可能性を示している。この遺伝子の発現は脱メチル化で抑制され、そのパターンは少なくとも第3代目まで遺伝した。これらの結果はrgplは生長に関与しており、その発現はDNAメチル化の状態に依存している事を示唆している(MGG,228,227,1991)。 3.rgpl cDNAをタバコに導入したところ、矮性、頂芽優性の消矢、発芽の異常という3つの形態異常が見られた。これらはrgpl遺伝子ホルモン代謝に係わる情報伝達系に関与している事を示唆した(Plant J.2,799,1992)。
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