研究概要 |
ラン藻<Synechocystis>___ーPCC6714を用いて,光條件による光化学系工複合体の形成調節機構の解析を(1)調節信号とシトクロムb__ー_6-f__ーとの関係,(2)形成調節誘導信号とクロロフィルa__ー(Chl a__ー)合成の関係を以下のように解析した. (1)昨年の研究よりシトクロムb__ー_6-f__ーの酸化還元状態が調節と密接に関係がある事がわかった.この関係を更に詳細に調べるために,シトクロムb__ー_6の酸化を阻害しその還元型を蓄積するHQNOを用いてその光化学系I形成への効果を調べた.その結果,HQNOは光誘起による光化学系Iの形成抑制には効果がなく,形成促進を著しく阻害する事がわかった.この結果は,シトクロムb__ー_6ーf__ーの還元レベルではなく,シトクロムb__ー_6を経由するQサイクルの電子束が形成促進を誘起する事を示唆する. (2)Chla合成と形成調節との関係をChl a__ー合成の中間体であるプロトクロロフィリドa__ー(Pchlide a__ー)の存在量と光條件との関連を調べた.光化学系I形成が抑制される光條件へのシフトによりPchlide a__ーが急速に蓄積され,促進條件へのシフトは急速な減少を誘起した.この時,クロラムフエニコ-ルにより光化学系Iたん白の合成を阻害してもPchlide a__ーレベルの光による増減がおこった.この事は,Pchlide a__ーより光の過程が光條件により調節を受けている事を示唆する.その過程は,たん白合成と関係なく,おそらくChl a__ー合成の最終ステップあるいはその輸送段階である可能性が高い. (3)光化学系Iのアポたん白合成過程での調節の可能性を調べるため,psa A,Bの転写産物レベルの光條件による変化を調べる試みを行った.予備的な結果の段階であるが,そのレベルに変化はおこらないらしい結果をえつヽある.
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