研究概要 |
計画に従い、涛沸湖、塘路湖、大沼(北海道)、三方湖(福井県)、志方二子池、三谷三郎池、平荘湖(兵庫県)、湖山池(鳥取県)、古志池、城北池、宍道湖(島根県)、香川新池、竜満池、小田池(香川県)、南大東ひょうたん池、与那国貢馬池、福地湖(沖縄県)などで<Microcystis>___ー属ラン藻の収集を行い、約50株を単離した。これらに平成元年度に収集したものを加えた計78株について、4つの酵素遺伝子(IDH,6PGD,PGI,PGM)の遺伝子型を調査するとともに、3種の毒素(ミクロキスチンーYR型、ーLR型、ーRR型)の定量を行った。得られたデ-タをKato & Doiの最小置換法などにより統計的に解析した結果、以下の新知見が得られた。 (1)調査した78株は29の遺伝子型に集約される。 (2)29の遺伝子型はさらに、<M.>___ー <wesenbergii>___ー(1遺伝子型・11株)、<M.>___ー <aeruginose>___ー S1ーtype(11遺伝子型・17株)、<M.>___ー <a.>___ー S2ーtype(10遺伝子型・10株)、<M.>___ー <a.>___ー Lーtype(6遺伝子型・27株)、<M.>___ー <viridis>___ー(1遺伝子型・13株)の5型に分類される。 (3)このうち前2者は無毒だが、後3者は有毒で3種または1種のミクロキスチンが検出される。 これらの研究成果から(1)<Microcystis>___ー属は少なくとも5つの分類群から成ること、(2)アイソザイムを遺伝標識とすることにより、従来の外部形態に基づく方法では困難だった種の同定(毒性の推定を含む)が、遺伝子型のレベルで確実に行える可能性が高いこと、の2点が示された。従って、本研究の所期の目的(<Microcystis>___ー属の分類学的再検討およびアイソザイムによる同定法の開発)は、必要十分に達成された。
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