研究概要 |
ニホンヒキガエル(Bufo japonicus)とアフリカツメガエル(Xenopus laevis)を使用した。 (1)Bufoの精子核塩基性蛋白質(SBP)は2種のプロタミン(P1,P2)から、Xenopusのそれは4種のコアヒストンおよび6種の精子特異的蛋白質(SP1ー6)から成る。BufoのP1,P2およびXenopusのSP4のcDNAを解析したところによれば、前2者はN末端より28番目が異なる(Glu/Asp)他は39ケのアミノ酸配列が互いに全て同じであり、SP4は78ケのアミノ酸の組成、配列のいずれでも既知のプロタミンと相同性が乏しい。(2)精子形成過程でヒストン群は精母細胞までに合成をやめ、SBPは精子変態が進んで核凝縮の開始とともに出現する。他方、ノザン解析、in situハイブリダイゼ-ションによれば、転写はP1,P2については球形の精細胞(一倍体)期に、SP4については第一精母細胞パキテン(四倍体)期に起こり、両者の間で異なった転写調節機構が存在することが示唆された。(3)成熟卵の抽出液を用いた無細胞系で精子核をインキュベ-トすると、核の脱凝縮とともにSBPが速やかに消失する。SBPを除去する活性は卵母細胞〜胞胚の細胞質に固有の耐熱性因子で、これを精製した結果、分子量、アミノ酸組成、等電点等からヌクレオプラズミンであると結論した。ヌクレオプラズミンは、精子核のSBPに結合してこれを分解することなしに核から除去する。前核は、コアヒストンの他胞胚期までの核に特異的なH1サブタイプを含むことを発見し、これをH1Xと命名した。
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