研究概要 |
コネクチンは、分子量が300万という巨大なフィラメント状タンパク質で筋原線維内のZ線とミオシンフィラメントとを連結している。ミオシンフィラメントの中央のM線まで達している。その作用はゴムのスプリングのように,ミオシンフィラメントを両側から支えてサルコメア中央に保持することである。 コネクチン(母分子αーコネクチン)は、筋肉内で分子量200万のβーコネクチンに容易に分解される。βーコネクチンは塩に溶けやすい。αーコネクチンとβーコネクチンの境界は、モノクロ-ン抗体の反応性からZ線からわずか0、05μmほど離れた部域とドイツのウエ-バ-らが報告している(1989年)。 筋原線維を0℃24時間置くと,αーコネクチンは、βーコネクチンに分解すると同時に1200kDaペプチドを生ずる。この1200kDaペプチドをαーコネクチン純化法で単離して(ウサギ骨格筋),ヤギに注射したところ,αーコネクチンと特異的に反応する抗体が得られた。この抗体Pb(1200)はβーコネクチンとは反応しない。 蛍光抗体法は、Z線と工帯中ほどと、計2本の抗体染色を示した。さらに免疫電顕法で調べたところ,休止長の筋原線維で,Z線から約0、3μmはなれたところに抗体が蓄積した縞が観察された。この縞はβーコネクチンが切断される部位とみなされる。なぜならばβーコネクチンと弱く反応するモノクロ-ン抗体SMIが結合する縞よりややZ線側だからである。このようにして,αーとβーコネクチンの境界線が確定した。 現在1200kDaペプチドを未変性で単離してその性質を研究している。この知見は、われわれがすでに詳細に研究したβーコネクチンと比較することによって巨大な弾性タンパク質の機能ドメインを明らかにすることになろう。
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