研究概要 |
骨格筋のサルコメア内では、Z線からバネのような弾性フィラメントのコネクチンが出て、ミオシンフィラメントを両側から支え、サルコメア中央に位置させている。そのためアクチンフィラメントが両側からミオシンフィラメントに滑走することができる。 コネクチンは、長さ1μm、分子量300万におよぶ巨大なフィラメント蛋白質である。分解物のβーコネクチン(200kDa)は、われわれ(1983)、Wang(1984)、Trinickら(1984)によって単離された。しかし、母分子のαーコネクチンは、1989年、本研究ではじめてウサギ骨格筋から単離された。 ニワトリ胸筋では、ウサぎ骨格筋の方法では、αー,βーコネクチンが分離できなかった。そこで、分離條件が検討された。その結果,ニワトリのαーコネクチンは、0.11Mリン酸カリウム(PH7.0)ー4'M尿素大でDEAEトヨパ-ル・カラムに吸着されることがわかった。吸着されないβーコネクチンを溶出したあと、0.1M NaClを加えると、αーコネクチンが得られた。ニワトリ胸筋コネクチンは、ウサギのそれとよく似た性質をもっていることが示された。ただし、αーコネクチンがβーコネクチンに分解されるときに切断されるペプチドは、ウサギでは1200kDaなのに、ニワトリでは900kDaとやや小さかった。われわれは、この900kDaと特異的に反応するモノクロ-ン抗体α7を作成することができた。α7は、ニワトリ胸筋サルコメアI帯のN_2線部位に結合することが免痩電子顕微鏡法によって明らかにされた。
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